43期地域文化学科 選択科目-4 山本一博先生 (2022年6-8月) 元東近江史編纂室長   学習内容ページへ   TOPページへ
   

         テーマ 『近江の聖徳太子伝承の背景を探る』

選択科目のページです。講師の先生毎にページがあります。
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 必修科目-1(2021年10月~2022年3月)  選択科目-1 民俗学、講師;粕渕宏昭先生(2021年10月~2022年1月)  発表会ー1(2021年12月14日)
 必修科目-2(2022年4月~2022年9月)  選択科目-2 近江の文学、講師;西本梛枝先生(2022年2月~4月)  発表会-2(2022年4月21日)
 必修科目-3(2022年10月~2023年3月)  選択科目-3 明智光秀とその生涯、坂本の史跡を訪ねる(2022年5月)  発表会-3(2023年2月13日)
 必修科目-4(2023年4月~2023年9月)  選択科目-4 近江聖徳太子伝承の背景を探る、講師;山本一博先生(2022年6-8月)  
   選択科目-5 近江の城郭、講師;中井均先生(2022年9-12月)  
   選択科目-6 地域コミュニケーション論、講師;上田洋平先生(2023年1,2月)  
   選択科目-7 郷土理解と観光ボランティア,講師;西嶌さん、大野さん(2023年3-6月)  
   選択科目-8 郷土の食文化・郷土料理づくり,講師;清水満里子先生(2023年7月4日)  
   選択科目-9 まちづくり講座,講師;森川稔先生(2023年7、8月)  
 日時   テーマ  内容
6月7日
 AM
聖徳太子について  先ずは、先生の自己紹介を頂きました。東近江の百済寺の近くで育ち、いつも穴を掘っていた歴史好き少年。仕事もその一直線上で、今、退職後は研究に専念できるのが楽しくてしかたがないと~
 「聖徳太子といえば一万円札」、昭和の教科書では、「憲法17条」等律令国家組織を作った、人の話を同時に聞き分ける聖徳太子として学んだが~平成以降の教科書では、推古天皇の甥「厩戸皇子」は、死後 [聖徳太子]として信仰・伝承の対象となったと大きく改訂された。「日本書記」(670年)には「聖徳太子」の名前はない。死後に観世音菩薩の生まれ変わりなど様々な伝説が『聖徳太子伝歴』に集大成。 その後も 貴族・高僧の太子信仰や庶民の太子講へさらに拡大した。
「死後100年で超人化された」”その謎のベールをはがす”面白さが これからの講義へ続きます。
6月7日
 PM
近江の聖徳太子伝承    元安土城考古学博物館副館長 大沼芳幸氏の『聖徳太子の文化観光資源化調査報告書』によると
近江における聖徳太子歴史文化遺産は206件ある。「太子親しさ度」は全国一位。
 ①琵琶湖東岸に濃密分布 ②近江では天台宗が多い ③仏像はほぼ観音様 ④山・自然と結びついているとある。
この報告に基づいて、山本一博先生は 「開基寺院」「太子彫刻尊格」双方とも該当する寺院抽出すると41ヵ寺が 湖東南部(蒲生・神崎)に集中していることを分析された。
さらに、江戸時代の状況を、『近江輿地志略』で検証すると、15ヵ寺がやはり湖東南部に集中⇒願成寺・善勝寺・安楽寺・石馬寺・瓦屋寺・百済寺・願成就寺・長光寺・観音正寺・長光寺・金剛定寺の12寺。
他のエリア⇒萬年寺・守善寺・・法音寺もすべて地図で紹介されました。
6月21日

校外学習①日野
中世の太子創建伝承寺院   ~校外学習に行きました~
10:00~蒲生郡日野町にある近江日野商人ふるさと館『旧山中正吉邸』の客室で講義。
 

中世の状況は石田茂作が『総説 飛鳥時代寺院址の研究』(昭和19年刊行) 日本書紀に記載の太子建立46カ寺を、鎌倉期以降に比定作業している4つの史料からまとめている。
 山本先生は、その中で近江の11ヵ寺を中世の寺名・地名・現存の寺の関係を検討された結果、
中世でも聖徳太子伝承を持つ寺院は、湖東南部に集中することがわかりました。
 石塔寺・蒲生寺(安吉寺)・阿弥陀寺・観音寺(観音正寺)・繖寺(石馬寺)・味摩寺(敏満寺)・勝善寺・武佐寺(長光寺)・瓦寺(瓦屋寺)・懐堂(老蘇の森)・百済寺、以上の11寺。

11:30~旧山中正吉邸』見学
ふるさと館の観光ガイドの方に蒲生定秀時代からの日野の治世・近江商人の歴史(お椀・薬の関東への行商)・旧正吉邸の建造物についてお聞きしました。

12:00~日野の町お料理が大好きなおばちゃんたちが運営する「日野の伝統料理を継承する会」のおもてなし。特に「鯛そうめん」は、日野祭りの日に、お店(おたな)だけが出せた、年に一度のごちそうだったそうです。
午前中は、大広間で山本先生の講義 近江商人「旧山中
正吉邸について
ガイドさんから聞きました
郷土料理「鯛そうめん
御膳」
 復刻日野碗の漆碗で、おもてなし感満喫
コロナ禍で2年半ぶりに
私たち団体客を受け入れてもらえました。
どれも美味しく舌鼓

13:00~鬼室神社見学「聖徳太子伝説のあった神社が渡来人を祀る神社になった歴史秘話」
  聖徳太子伝説の校外学習に、どうして渡来人を祀る神社の見学?と疑問を抱きながら、やってきました。
 
雨の中、
神社の前の六角の「集斯亭」で、山本先生は熱心にお話される
 

日野町小野(この)にある。
「天神社」の裏を回ると右写真

集斯の父を祀る大韓民国恩山面と日野市は1990年から姉妹都市として交流している
 

この祠の中に、「鬼室集斯墓」の碑文
 ここは、江戸期は不動明王を祀る不動堂といいました。この地に六角の人魚墓があるという史料が『古廟陵並植物図』にあり、司馬江漢も来訪。人魚墓と言えば「太子伝説」
 しかし、文化2年(1805)に仁正寺藩主が命じた歴史書編纂の作業過程で八角柱の石碑を発見、そこに「鬼室集斯墓」の碑文が彫られていたのです。
「鬼室集斯」とは、百済の遺民で天智時代、700余人を率いて蒲生郡に移住し、地域発展に貢献した高官である。
この碑文発見によって、昭和30年からは祭神を鬼室集斯とする『鬼室神社』に改名された。  
      ~人魚墓の太子伝説は、いったい何処に

14:00~大慈山『西明寺』 到着。
 
毘沙門天(12c後半?)
 
国重文の十一面観音像の本尊廟
 
  不動明王
 

 観音堂の茅葺屋根は、苔むしていて、わびしさを感じた。

毘沙門天は大安楽寺と合わせて5躯の天部像となる
 拝殿での読経の後に、立派な茅葺屋根の観音堂に案内していただきました。特別秘仏(国宝)の扉は閉ざされていますが、お姿が拝めるようにお前立像がありました。脇像の、毘沙門天と不動明王も、中々、いにしえの威厳がありました。
 この寺は周辺の大安楽寺と共に、奈良時代に竜王山に創建されたと伝わる、当時は天台信仰のお寺で、隣接する「十二社」とともに山岳修験信仰の場であった。
 
前住職ご夫妻とTさんの9年後の再会叶わず、回向の読経していただく

     西明寺で記念撮影、合掌
     最後まで雨が降り続きました。講師の山本先生、お疲れ様でした。

     『梅雨の日野 ゆっくりと歴史をひも解く 太子伝かな』 (敏雄)

7月5日AM
愛荘町歴史文化博物館
太子伝承寺院と太子の接点
     
 近世・中世の太子伝承拠点寺院についての講義  この日は休館日でしたが、山本先生の尽力で見学可能となりました。  昼食はこれまででベストでした!
7月5日PM
校外学習②
①依智秦氏の里古墳公園
②勝堂古墳群


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 依智秦氏古墳公園  古墳遠景 石室内の様子 
     
 勝堂古墳群。車での移動で途中約1台行方不明になるも無事全員集合!  ここも古墳らしい 古墳群のひとつで解説してもらう。暑い! 
     
 古墳に登ってみる 別の古墳にも登る  古墳の上から、景色GOODでした
7月19日AM
東近江埋蔵文化財センター
講義;太子伝承寺院を繋ぐもの
 
   
 蒲生、神崎郡に集中する独立山塊にある寺院群に、太子伝承が付加された。⇒これそが湖東南部に太子伝承寺院が集中する最大の要因である。  埋蔵文化センター保存の土器、石器など発掘物を見学
7月19日PM
校外学習③
①安楽寺
②独立山塊遠望 
 大雨警報発令で延期になりました。JRも半日運休、安土など地下道が浸水。10月21日に補習していただきました。
8月2日AM
 
聖徳太子伝承の背景を探る
介護研修室
   
聖徳太子伝承を寺社の縁起(由来)から紐解き、なぜ太子伝承が生まれてきたのか紹介がありました。天台系寺院の没落や信者獲得のため、仏教を最初に日本に広めた聖徳太子の存在を利用した面があったそうです。 太子信仰を広めるために絵巻が活用されたようです(信貴山縁起絵巻、北野天満宮縁起絵巻、石山寺縁起絵巻、桑実寺縁起絵巻など)。
8月2日PM  聖徳太子伝承の背景を探る
介護研修室
   
今までの質問に答えるかたちで、以下の3点について説明されました。 
・長光寺、広済寺、武佐寺の関係を歴史書から。
・日野町小野 人魚塚⇒鬼室集鬼斯墓碑の関係について
・秦河勝と依知秦田来津との親子関係の真偽について
10月21日
(補習)
①安楽寺
②独立山塊遠望
  7/19PMの代替え
クラス会として開催
 伊庭の坂下し    
 聖徳太子開基した安楽寺。太子作の十手観音がご本尊。隣が”伊庭の坂下し”で有名な繖峰三神  急な石段を登って本堂へ  元プロボクサーのご住職と本堂
 
 ご住職の講話を聞く  能登川湖畔から沖島を臨む。左の岬先端に”伊崎の竿飛”の竿が見える。  琵琶湖の絶景を背景に記念写真
































































































































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