私たち第44期園芸学科Aが学ぶ 『学習内容』は、大きく分けて①.基礎講座と②.選択講座があります。
ここでは、2年間学んだ 『①.基礎講座』 の概要を書いています。
この基礎講座では以下のような目的で行われ、非常に興味あり勉強になるバラエティーに富んだ講演・講義でした。
≪基礎講座≫
・ シニアに必要な知識と教養を、「豊かに生きる」、「健康づくり」、「社会参加」、「くらしと地域」などをテーマとして座学で学びます。
・座学以外にも、ボランティアや地域の活動を体験的に学ぶ「地域活動体験学習」や、県内の名所等での「校外学習」など、多彩な講座を受けます。
(参考:選択講座)
・講義と実習で園芸に関する広い知識・技能を習得します。
・花壇の整備や樹木の剪定、野菜作りなどの実習授業により、より実践的な知識を深め様々な活動に役立ちます。
≪第44期(1年)前期の基礎講座 : 2022年10月~2023年3月≫
開催月日 | テーマ | 講師(敬称略) | |
10月 4日 | 全日 | 入学式 | ― |
10月 7日 | am | オリエンテーション | (事務局) |
pm | オリエンテーション | (第43期生) | |
10月18日 | am | アイスブレーキング ~心ほぐしと自己覚知~ |
龍谷大学非常勤講師 扇田 宗親 |
pm | クラス活動 | (第43期生) | |
11月 4日 | am | 高齢期をもっと豊かな時期にするため | 滋賀大学 教授 神部 純一 |
pm | 健康と生きがいづくりに役立つ笑いの力 ~大道芸で笑って健康に~ | 大道芸人 田久 朋寛 |
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11月25日 | am | シニア世代の整理収納術 | 整理収納 アドバイザー 中島 由子 |
pm | 骨・カルシウムセミナー ~骨の健康のために大切なお話~ |
雪印メグミルク(株)関西コミュニティセンター 唐住 泉 |
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12月 2日 | am | 井伊直弼の生涯 | 米原市柏原宿歴史館 館長 谷口 徹 |
pm | 健康にとっての睡眠の重要性 | 公益財団法人西川文化財団 スリープマスター 三品 清純 |
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12月 9日 | am | 部会等活動 | ― |
pm | クラス活動 | ― | |
12月23日 | am | ボランティア活動について (入門編) |
社会福祉法人大阪ボランティア協会 理事長 早瀬 昇 |
pm | クラス活動 | ― | |
1月13日 | am | あたらしい人権課題としてLGBTQ(性的少数者) |
イーコミュニティ 橋本 竜二 |
pm | 目指せ!褒める達人 褒め達講座 |
ここ しみず事務所 清水 美代子 |
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1月20日 | am | 近江が生んだ知将石田三成 ~その生涯と業績~ |
近江歴史文化研究所 淡海歴史文化研究所 所長 太田 浩司 |
pm | 健康と美容を手に入れる ~オーラルケアと血流改善を学ぶ~ |
花王グループカスタマーマーケティング株式会社 小川 志津香 |
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2月 3日 | am | ラジオ体操のすすめ ~フレイル予防とメンタルヘルスケア~ |
龍谷大学社会学部 名誉教授 安西 将也 教授 井上 辰樹 |
pm | 近江の仏像 ~奈良時代から鎌倉時代の名作を紹介~ |
公益財団法人秀明文化財団 理事 高梨 純次 |
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2月17日 | am | 自然の魅力 ~マキノでの活動を通して~ |
マキノ自然観察倶楽部 代表 谷口 良一 |
pm | まちづくりと環境問題 ~地域活動を通じて環境問題について考える~ |
特定非営利活動法人おおつ環境フォーラム 理事長 環境技術協会 会長 竺 文彦 |
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3月10日 | am | 負担をかけない身体の使い方 | びわこリハビリテーション専門職大学 講師 川崎 浩子 |
pm | 災害への備えと地域防災力の向上をめざして | 滋賀県防災危機管理局 細川 優依 |
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3月17日 | am | コミュニケーションや情報発信に役立つITツールを学ぶ | 龍谷大学社会学部 准教授 坂本 清彦 |
pm | クラス活動 | ― | |
3月24日 | am | 地域活動ガイダンス | (事務局) |
pm | 地域文化とまちづくり | 住みよいまち&絆研究所 代表 奥野 修 |
≪第44期(1年)後期の基礎講座 : 2023年4月~2023年9月≫
開催月日 | テーマ | 講師 (敬称略) | |
4月 7日 | am | アンガーマネジメントを知り感情をコントロールしよう | |
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会ファシリテーター 尾崎 沙千 |
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pm | 能へのいざない | 観世流能楽師 吉浪 壽晃 |
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4月21日 | am | インターネットと人権 ~SNS等のトラブルを未然に防ごう~ |
一般社団法人ソーシャルメディア研究会 チーフ技術指導員 竹内 義博 |
pm | 滋賀県の河川環境 ~河川の研究を通じて~ |
滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 専門研究員 立命館大学理工学部非常勤講師 佐藤 祐一 |
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4月28日 | am | これからの介護 ~最新の介護用具や介護事情を知る~ |
一般社団法人日本福祉用具供給協会 (株)ヤサカ滋賀南支店 安村 庸 |
pm | クラス活動 | ― | |
5月12日 | 全日 | ニュースポーツ大会 | ― |
5月26日 | am | クラウドファンディングで地域貢献! ~地域活性化事例とプロジェクト成功のポイント~ |
合同会社MediArt 代表 植田 淳平 |
pm | 認知症サポーターに参加しよう | 草津市健康福祉部長寿いきがい課 | |
6月 2日 | am | 災害ボランティア活動について ~被災地の活動から学ぶ~ |
災害NGO 結~yui~代表 前原 土武 |
pm | クラス活動 | ― | |
6月 9日 | pm | <校外学習(ビアンカ乗船)> 湖上散歩~近江の文学・歴史・風土を学ぶ~ |
文筆家・旅行作家 西本 梛枝 |
7月 7日 | am | 特殊詐欺をはじめとする身近な犯罪から身を守る | 滋賀県警察本部 生活安全企画課 警部補 関 早紀子 |
pm | 徳川家康と城づくり | 滋賀県立大学 名誉教授 中井 均 |
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7月14日 | am | シニアのためのハラスメント講座 | 株式会社しがぎん経済文化センター 取締役社長 西堀 武 |
pm | クラス活動 | ― | |
7月20日 | 全日 | 大学祭 | ― |
7月21日 | 全日 | 大学祭 | ― |
7月22日 | 全日 | 大学祭 | ― |
8月25日 | am | 近江と徳川家康との深い関係 | 近江歴史文化研究所 所長 淡海歴史文化研究所 所長 太田 浩司 |
pm | 卒業生寄付講座 | ||
9月14日 | pm | 卒業式 | <滋賀県立文化産業交流会館にて> |
9月22日 | 全日 | 地域活動体験学習クラス報告会 | ― |
≪第44期(2年)前期の基礎講座 : 2023年10月~2024年3月≫
開催月日 | テーマ | 講師 (敬称略) | |
10月13日 | am | 課題学習をみんなで進めるために ~学習計画立案のグループワーク~ |
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認定特定非営利活動法人 しがNPOセンター 理事 森川 稔 |
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pm | 課題学習ガイダンス・クラス活動 | ― | |
10月20日 | 全日 | 課題学習 ~クラス活動~ | ― |
11月10日 | am | 鈴鹿山麓小さな村のよもやま話 | 滋賀県レイカディア大学 第43期地域文化学科 卒業生 鍋屋 渡支雄 |
pm | 子どもの居場所つくり ~家庭や学校にしんどさを抱える子どもたち~ |
NPO法人こどもソーシャルワークセンター 理事長 幸重 忠孝 |
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11月17日 | pm | クラス活動 | ― |
11月24日 | am | 部会等活動 | ― |
pm | クラス活動 | ― | |
12月 8日 | am | 今日から始めるフレイル予防 | 立命館大学スポーツ健康科学部 教授 真田 樹義 |
pm | 滋賀県の気象特性と防災気象情報の利用について | 彦根地方気象台 次長 山崎 誠導 |
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12月15日 | am | 日本の舞踏家が伝える美と健康 ~次世代へ伝え残す、大切な日本のこころと文化~ |
正派 西川流 師範 西川 玉洲 |
pm | 動物との暮らし 三方よしを目指して ~犬猫を取り巻く現状と課題から考える~ |
滋賀県動物保護管理センター 主幹 松本 浩樹 |
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1月12日 | am | これからの時間の使い方 ~学びを活かす~ |
夢こらぼ 主宰 松尾 やよい |
pm | 想像力を高めて「もしも」に備える ~クロスロードゲーム~ |
認定特定非営利活動法人しがNPOセンター 西川 実佐子 |
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1月19日 | am | デジタル技術の活用について | 滋賀県総合企画部DX推進課 |
pm | 古地図で訪ねる近江 | 元滋賀県立高等学校 校長 松井 善和 |
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1月26日 | am | 疫病対策としての大津絵 ~その大津絵の先駆性~ |
大津市歴史博物館 学芸員 横谷 賢一郎 |
pm |
近江の歴史文化 | 特定非営利活動法人 歴史資源開発機構 主任研究員 大沼 芳幸 |
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2月 2日 | am | 植物観察のススメ | 植物観察家、植物生態写真家 鈴木 純 |
pm |
健康寿命延伸のために有用な運動 ~シニアに必要な運動を学ぼう~ |
滋賀県立大学 名誉教授 寄木 明 |
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2月 9日 | am | 介護予防と地域との連携について ~健康、働くをキーワードにした実践事例からの新たな展望~ |
特定非営利活動法人 加楽 理事長 楠神 渉 |
pm | 山門水源の森 ~この森の3つの特徴と、その保全~ |
山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会 事務局長 富岡 明 |
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3月 1日 | am | 人生100年時代において、笑いの大切さを ~人がいるから笑いがある~ |
雲迎寺 住職 久志 則行 |
pm | クラス活動 | ― | |
3月 8日 | am | ボランティア活動について(実践編) | 特定非営利活動法人まちづくりスポット大津 コーディネーター 白井 恭子 |
pm | クラス活動 | ― | |
3月22日 | am | (身近な生活にかかわる法律) 終活に向けての基礎知識 ~遺言書とエンディングノート~ |
滋賀県司法書士会 |
pm | 薬の正しい使い方 ~食事や他の薬との飲み合わせ~ |
一般社団法人 滋賀県薬剤師会 |
≪第44期(2年)後期の基礎講座 : 2024年4月~2024年9月≫
開催月日 | テーマ | 講師 (敬称略) | |
4月12日 | am | 高齢者を狙った悪質商法 | |
滋賀県消費生活センター 相談員 | |||
pm | 未来へつなぐ命のバトン | 日本看取士会 看取りステーション滋賀「たんぽぽ」所長 西河 美智子 |
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4月19日 | am | 出会いを活かす ~クラスの絆をいつまでも~ |
びわこ環境学科 第39期卒業生 一色 実 |
pm | クラス活動 | ||
5月10日 | 全日 | ニュースポーツ大会 | |
5月17日 | pm | 冨田人形浄瑠璃鑑賞 【長浜文化芸術会館】 |
冨田人形共遊団 |
5月31日 | am | くらしとお金を考える | ファイナンシャルプランナー/社会保険労務士/1級DCプランナー 小野 みゆき |
pm | レイ大閉校の危機を乗り越えて | サポートの会 | |
6月14日 | am | 卒業後の活動に向けて | 同窓会 サポートの会 えにしの会 |
pm | 高齢期をもっと豊かな時期にするためにⅡ | 滋賀大学教育学部 教授 神部 純一 |
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6月21日 | am | 面白がって生きるコツ | 児童文学作家 今関 信子 |
pm | 心の治癒力を引き出す | 彦根市立病院 緩和ケア内科部長 黒丸 尊治 |
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6月28日 | am | クラス活動 | ― |
pm | 備えと構えで減災目指す | たかしま災害支援ボランティアネットワーク「なまず」代表 太田 直子 |
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7月 5日 | am | 平和を祈り描き続けた画家・平山郁夫 | 佐川美術館 学芸員 藤井 康憲 |
pm | 「源氏物語」と紫式部と近江 | 近江の文学研究科 いかい ゆり子 |
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7月12日 | am | 自分史書く試みから本へ | 大垣書店 相談役出版部長 平野 篤 |
pm | クラス活動 | ― | |
7月25日 | 全日 | 大学祭 | ― |
7月26日 | 全日 | 大学祭 | ― |
7月27日 | 全日 | 大学祭 | ― |
8月 9日 |
am | 平安人の心で「源氏物語」を読む | 京都先端科学大学 教授 山本 淳子 |
pm | 仏教を通して生と死を考える | 龍谷大学農学部 准教授 打本 弘祐 |
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8月23日 | am | 水と祈りの近江を歩く | 成安造形大学 副学長 加藤 賢治 |
pm | コオーディネーション運動で楽しく体力アップ! | 立命館大学スポーツ健康科学部 教授・学生部長 上田 健嗣 |
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8月30日 | 全日 | 課題学習報告会 | ― |
9月 6日 | 全日 | 課題学習報告会 | ― |
9月13日 | 卒業式 | ― |
第44期(1年)前期の基礎講座 2022年10月~2023年3月 |
2022年10月18日(午前)
「 アイスブレーキング ~心ほぐしと自己覚知~ 」
龍谷大学 非常勤講師 扇田 宗親
地域の絆を深め地域福祉を進めるためには、自分の心ほぐしと自己覚知が重要。
もともと人間は助けてもらうだけの一方的なことは嫌で、お互い様の両方とも同じ立場や状態を求めており、地域福祉も同様のことが求められているとのこと。
そのためのアイスブレーキング(集まった人を和ませ、コミュニケーションを取りやすくする方法)として、心ほぐし(穏やかな気持ちになる)と自己覚知(見聞きや体験から感じ受け止め方、反応の自己認識)が大切であると。
そのために、私やあなたを漢字一文字で表すとどんな文字を思い浮かべますか?などと投げかけるのもお互いを知る良いきっかけになるのだと学びました。
2022年11月4日(午前)
「 高齢期をもっと豊かな時期にするため 」
滋賀大学 教授 神部 純一 先生
様々な高齢者の研究では、「自己決定が出来ることが、生き甲斐につながる」と言われています。そして、自立に欠かせないのが、学ぶことだと。学ぶことを通じて「生活の向上」を図るためには、自分史を書くことが大切だと。
なお、自分史を書くメリットとしては、
①生きがいを見つける
②自信、自尊心を高める
③脳を活性化する
等々が言われています。
是非、自分史を書くことをお勧めします。
2022年11月4日(午後)
「 健康と生きがい作りに役立つ笑いの力 ~大道芸で笑って健康に~ 」
大道芸人 田久 朋寛 先生
1日に笑う回数は平均10回から15回だそうで、年を取ると笑いの回数が減るそうです。
笑いは健康と長寿の秘訣なので、日々笑うことを心がけましょう。
笑いの効用 : 笑いは人から人へ伝染し、自分の心の幸せにもつながる。
長寿の秘訣 : 日々退屈しないこと。好奇心を持つこと。常に笑っていること。
「たっきゅう(田久)さん」の健康・生きがいに役立つ笑いについてユーモアたっぷりにおしゃべり(説明)をされた後で、見事なジャングリング芸を披露して頂き、楽しまさせていただきました。
さて、今日のこれから何回みんなで笑おうか。また、何回笑わせようかナ。
2022年11月25日(午前)
「 シニア世代の整理収納術 」
整理収納 アドバイザー 中島 由子 先生
「整理・整頓」、子供のころから耳にタコができるほど聞きなれた言葉ですね。しかし、なかなか出来ないのが整理・整頓だけど、今日はシニア世代の整理収納術を習いました。
シニア世代に必要な整理・収納は、3つのステージで考える必要があるとのこと。
ステージ1…心身共に元気な時期に、物の整理・整頓を進めるステージ。
ステージ2…心身の衰える時期に、収納のテクニックを用いた支援を必要とする時期。
ステージ3…認知機能にも衰えが見られる時期に、家庭に支援者が入ることを見据えた収納が求められる時期。
シニア世代には終活を見据えた整理・整頓が必要で、先送りにできないことの実践的な講義でした。
2022年11月25日(午後)
「 骨・カルシウムセミナー ~骨の健康のために大切なお話~ 」
雪印メグミルク(株) 関西コミュニティセンター 唐住 泉 先生
高齢者は、骨が命。普段からカルシウムの働きや骨の代謝の仕組みをよく知っておく必要があり、有益な授業の始まり~、始まり~。
先ずは、骨を構成するカルシウムの働きや代謝の話からスタートした。
その中で、一日に摂りたいカルシュウムの量は、男性が700㎎で女性が600㎎とのことだが、なかなか摂れないカルシュウムを取るには工夫が必要とのことです。
その工夫としては、
・粉チーズ、じゃこ、ゴマでふりかけにする
・おからや、切り干し大根を牛乳で戻す
・ソーメンのつゆを割るとき牛乳を入れる
等々を教えて頂きました。
お土産としてスキムミルクなどを頂きました。ありがとうございました。
シニアの皆さん、骨の健康のために今日の授業内容を早速に実践してみましょう。
2022年12月2日(午前)
「 井伊直弼の生涯 」
米原市柏原宿歴史館 館長 谷口 徹 先生
井伊直弼が彦根で生まれてから江戸で暗殺されるまでの生涯を、リアルにエピソードを交えて話されました。
直弼は非嫡出だったので、井伊家の常として嫡子以外の子は他家を継ぐか、家臣に養われるのが通例で、父を亡くしてからは城を出て質素な「埋木舎(うもれぎのや)」に住み、禅、武術、能、狂言、国学、和歌、焼き物、茶の湯を学び造詣を深めて多くの書物を残しました。茶の湯では本格的に取り組み独自の一派を樹立し、残した著書の中には有名な「一期一会」などの言葉があります。
しかし、兄たちも亡くなったために、彦根藩主となり、そして大老に就任し「日米修好通商条約」を締結するなど花を咲かせたのでしたが、「桜田門外の変」で亡くなったのでした。
なお、直弼は幕府に牛の味噌漬けを献上していたため、あだ名は彦根牛(愛牛)とも言われていたそうです。
井伊直弼は、波乱万丈な生涯だったのだけど、いろいろと勉強をして極めていたのですね。
2022年12月2日(午後)
「 健康にとっての睡眠の重要性 」
公益財団法人西川文化財団 スリープマスター 三品 清佳 先生
西川文化財団は、“西川”と聞いて直ぐ分かるように、ふとんの西川株式会社ですね。西川ふとん屋さんは室町時代に近江商人としてスタートし、蚊帳の販売から始めたそうです。
ところで、世界の睡眠時間は、最大の南アフリカの9時間13分で、それに対し日本は7時間22分だそうで最低レベルだそうです。皆さんの睡眠時間は日本人レベルですか?
さて、睡眠の基本のルールは、
朝…①同じ時間に起きる
②起きたら朝陽を浴びる
③朝ご飯をしっかりよく噛んで食べる
昼…元気に活動する
午後~夕方には運動を20~60分する。
夜…睡眠2~3時間前に食事、酒類を済ます
1時間前には、入浴、テレビは終了する
30分前の読書が一番いい。ストレッチ、ハーブテイー、好きな香りも良い
睡眠の役割は、頭の整理、体のメンテナンス、メンタルバランスの調整、副交感神経の働きを良くする等々の生活のリズムを良くするので、しっかり寝ましょう。
2022年12月23日(午前)
「 ボランティア活動について (入門編)」
社会福祉法人大阪ボランティア協会 理事長 早瀬 昇 先生
ボランティア活動は「恋愛に似ている」。それは次のような共通点があるから。
① 自発的な無償の行為
② 対象を選べる
③ 好きであることが選択の重要な基準になる
④ 出会いは偶然によるところが多い
⑤ しんどいこともあるが自分自身も元気になる活動
⑥ 自分が満足するだけでは、うまくいかない
⑦ 止めるとき、別れる時が辛く難しい
⑧ 心移りをすることがある
なるほど~ネ。
2023年1月13日(午前)
「 あたらしい人権課題としてのLGBTQ(性的少数者) 」
NPO法人にじいろ BIWAKO 代表 イーコミュニティ 橋本 竜二 先生
講演者自身がゲイであることを、話の中で私たちに告げられました。
中学2年の時、仲の良い男友達を好きになるが、周囲の反応が気になり悶々とするとともに苦悩され、いたたまれず母親に高校3年の時カミングアウトされたそうです。
大学の卒業論文では同性愛について発表し賞賛されたが、同じように悩む人たちを支え居場所つくりをしたいとのことで精神保健福祉士になり、「にじいろBiwako」を作られたそうです。
質問タイムで、学生のお一人から自分の子供がLGBTQであることを初めて公表しますと発言され、橋本さんの苦しみを知り子供には理解してやれずにかわいそうなことをしたと深く反省されたことが、強い印象として残った。
なお、戸籍上同性のカップルに対して地方自治体が婚姻と同等の関係を承認する制度の「同性パートナーシップ」は全国の55%が導入しているが、滋賀県では彦根市だけが導入しているそうで、遅れている実態を知った次第です。
性的少数者は、差別や偏見の対象ではなく、個性の一つであると誰もが認める社会になるべきだと強く思い知ったのでした。
2023年1月13日(午後)
「 目指せ! 褒める達人 褒め達講座 」
日本褒める達人協会 ここ しみず事務所 清水 美代子 先生
自分が言われて嬉しい褒め言葉だが、人を褒めるのはなかなか難しい。
褒めるとは、「人・モノ・出来事の価値を発見して伝えること」で、自分自身の脳を活性化し『脳力』を上げ、表情も良くなるそうです。
先生の指導の下で横の人と褒め合いましたが、なかなか難しかったけど、確かに褒める際には笑顔になりますね。
「ほめ達」が積極的に使うSで始まる3つの言葉の3S【すごいね、さすが、素晴らしい】を意識的に使い、一方「ほめ達」が封印すべきDで始まる言葉の3D【でも、だって、どうせ】は頭に思い浮かべたら考えることを停止することなので瞬殺することが大切なのだと教わりました。
言葉で褒めることは、脳力を上げ、心の視野を広げ、相手を笑顔にする。しかも、タダで!(これは打算的でした)。どんどん、褒めまくりましょう!
2023年1月20日(午前)
「 近江が生んだ知将石田三成 ~その生涯と業績~ 」
近江歴史文化研究所 所長、淡海歴史文化研究所 所長 太田 浩司 先生
三成が生まれたのは長浜市石田町。秀吉が領内を巡回したとき「ある寺」にいた三成の茶の立て方に感心して家臣にしたと言われている。そして、秀吉の晩年に創設された五奉行の一人となった。
秀吉の死後、関ヶ原の合戦で家康に敗れ、京都の六条河原で41歳で処刑されるまで、平和な日本をつくるため数々のシステムを作っていくのでした。
ちなみに、石田三成の旗印「大一大万大吉」(だいいち・だいまん・だいきち)は、『一人が万人のために、万人が一人のために尽くせば、全ての人々が幸せになれる』という意味を込められていたそうです。
<石田三成の旗印>
何かと悪者扱いを受ける石田三成ですが、天下を納めて世の中を平和にすると言う志は持っておられたのではないでしょうか。
2023年1月20日(午後)
「 健康と美容を手に入れる ~オーラルケアと血流改善を学ぶ~ 」
花王グループ カスタマーマーケティング株式会社 小川 志津香 先生
高齢者には「歯が命」だよね。今日は、オーラルケアと血流改善を学びました。
いつまでもおいしく食べるために、日本歯科医師会は「80歳になっても20本以上の歯を保とう」という『8020運動』を推進しているそうです。
まだ80歳までは少し先だけど、歯垢の定期的な除去、舌苔の除去のための舌磨きの励行、滑舌を良くするための「さ・し・す・せ・そ」と唱える発音トレーニングなど、口腔ケアが必要とのことでした。口は、健康とコミュニケーションを支える大切な場所なんですよネ。
次に、高齢者には来るべき時の予行練習として紙おむつのはき方について教わりました。おむつの中の尿が漏れないように、縁の返しをしっかりと起こすようにと役に立つ話が聞けました。
<紙おむつのはき方>
次に、血流改善の方法を教えて頂きました。日々の暮らしの中で、正しい姿勢、適度な運動、身体を温めるぬるめの風呂に入るなどを適切に行うことが大切だと。特に、血流改善には炭酸浴が良く、発泡入浴剤を使うことが非常に効果的だと推薦されてました。
お土産として蒸気アイマスク、バブを頂きました。さー、今宵はバブでゆっくり温まろう~。
お、この講座中に、NHK大阪放送局さんが講義の状況を取材に来られました。
どうやら、滋賀県が長寿県であることのその一つの答えとして、高齢者が熱心に勉強し社会還元活動を勧めているレイカディア大学の存在に注目したようですね。
この取材は、ニュース番組「ほっと関西」の『なんでなん』で放映されました。しかし折角、熱心に聞き入っているポーズを取ったのだけど映っていませんでした。俳優デビューは、まだまだ先かなぁ~。
2023年2月3日(午前)
「 ラジオ体操のすすめ ~フレイル予防とメンタルヘルスケア~ 」
龍谷大学社会学部 名誉教授 安西 将也 先生
龍谷大学社会学部 教授 井上 辰樹 先生
小学校の夏休みに朝一番にやることは、ラジオ体操でしたね。
そのラジオ体操に第3があったとは知らなかった。お二人の先生が第3ラジオ体操を精力的に復活・普及させているとのことでした。
その第3ラジオ体操は、第1や第2のラジオ体操よりも強度が強く、心拍数が上がり有酸素運動であり運動効果が大きいそうです。
井上先生から、講義室の中で全員が広がって第3ラジオ体操の実技講習を受けましたが、確かに息が少し上がりました。
この第3ラジオ体操の効果を様々な検証を行われた結果、生活習慣病の予防、うつ病の予防、高齢者のフレイル予防などに効果があると実証できたそうです。そして、2025年に開かれる滋賀国体で披露される予定であるとのことでした。
2023年2月3日(午後)
「 近江の仏像 ~奈良時代から鎌倉時代の名作を紹介~ 」
公益財団法人秀明文化財団 理事 高梨 純次 先生
近江の仏像について、奈良時代から鎌倉時代にスポットをあてて講義をされました。
近江には7世紀から8世紀にかけて大津京と紫香楽京が遷都され、それに伴い多くのお寺の建立と仏像の設置が行われたのでした。その結果、滋賀県は、京都府や奈良県などに次いで国宝や重要文化財が多く、上位にランキングされています。
この時期に、仏像の設置に大きく関わっていた近江のお寺や史跡は、石山寺、比叡山延暦寺、金勝寺などや近江国庁で、多くの仏像が作られたそうです。
なお、700年代の近江では、信楽に仏像の官営工房があり、朝鮮半島の新羅から情報を取り寄せて大仏を造り、奈良の平城京に運んだようだとのことで、近江の仏像造りの歴史は深いことを知りました。
2023年2月17日(午前)
「 自然の魅力 ~マキノでの活動を通して~ 」
マキノ自然観察倶楽部 代表 谷口 良一 先生
自然を学ぶきっかけは赤坂山の自然ガイドブックの編集を手掛けたことからですと話された谷口さんから、自然の魅力をマキノでの活動を通して話されました。
なお、谷口さんは農業を営みながら奥様と一緒に民宿経営、森林インストラクター、セラピスト、カヤックインストラクター等々とマキノの自然を大いに活用して積極的に活動されてます。
自然の魅力は、単に自然のことだけに止まらず、そこに関係する歴史や、そこに住む人の暮らしなども大きく関わっているために、自然があればどこでも魅力な場所になれるかと言うとそうではないと思った次第でした。
マキノの魅力を自然の四季折々の写真や歴史的な出来事や史跡・建物、食べ物等々の説明を受けて、それらに感銘しマキノに訪れたいと思う人が出てきたようである。
2023年2月17日(午後)
「 まちづくりと環境問題 ~地域活動を通じて環境問題について考える~ 」
特定非営利活動法人おおつ環境フォーラム 理事長、環境技術協会 会長 竺 文彦
ドイツでの滞在の経験を中心にヨーロッパのまちづくりと環境問題を語られました。
環境先進国のドイツは様々な環境問題に取り組んでおり、省エネ、リサイクルの徹底から、景観、動植物の保護と様々なことをやっている。しかし、ドイツ人はお節介で、花が枯れていると近所の人が注意するといった、日本人には少し抵抗がある振る舞いもあるとか。
隣の国スイスでは、アルプスの麓の小さな町々で一番美しい村づくりを目指し、窓辺にゼラニウム等の赤い花を一杯飾ってメルヘンなまちづくりを競っていますね。
なお、面白かったこととして、ヨーロッパでは遊園地が移動してやって来て、メリーゴーランド、観覧車、ジェットコースターなど遊具が設置され、ビールやソーセージが食べれる屋台も出て盛大に賑わうのですね。日本では考えられないことですが、移動遊園地は楽しそうですよね。
でも、ドイツの環境問題とまちづくりは見習うべきことが多そうですね。
講演では、講演者が地元大津で活動されている「おおつ環境フォーラム」についての話がありました。豊かな自然環境や生物多様性の保全、地球温暖化の防止、循環型社会の構築などの環境保全活動の推進を図り、持続可能な社会の実現のための活動をされており、身近な話として大津の町屋の再生、なかまち商店街の活性化に勤しんでおられるとのことでした。
2023年3月10日(午前)
「 負担をかけない身体の使い方 」
びわこリハビリテーション専門職大学 講師 川崎 浩子 先生
同窓会で久しぶりに会う同級生の「老け方の違い」に驚いた経験はありませんか?
加齢は平等ですが、老化は個人差が大きいのです。その個人差は、遺伝から来る要因もあるが、生活習慣に起因する割合が7割もあるそうです。
そこで、老化の予防には、①身体活動、②社会参加、③しっかりバランスよく食べる、ことが大切だと教えて頂きました。
なお、身体に負担をかける寝方が口呼吸であり、口呼吸は過換気状況になって疲れやすく、疲れが取れにくい身体になるそうです。その対策は、寝る時に上唇と下唇をテープで貼って寝たら良いそうです。寝姿を想像すると怖いですが、鼻呼吸にして健康になりましょう。
次の話は、日常生活で知らず知らずに若い時のまま行っていることが身体に大きな負担をかけているという話でした。パソコンやスマホの際の前屈み、長時間のテレビ視聴で座りぱなし、台所での立ちぱなし、等々は体に大きな負担をかける姿勢ですね。
また、よくある話しですが、重いものを持ち上げて腰を痛め、整体院に駆け込んだと言うあるある話しのことでした。この話は高齢者には特に要注意で、重いものを持ち上げるにはいきなり腰を使って持ち上げるのではなく、しゃがみ込み体の重心と荷物の重心を近づけ、脚を使って持ち上げましょうと実技で見せて頂きました。
2023年3月10日(午後)
「 災害への備えと地域防災力の向上をめざして 」
滋賀県防災危機管理局 細川 優依 先生
予測不可能な災害に対しては、自分自身や家族で守り助け合う「自助」、地域や身近な人達が助け合う「共助」、行政が支援する「公助」の3つを上手く機能させて地域の防災力を高めることが大切だと。
しかし、過去の大規模災害による被害の多くの要因は「逃げ遅れ」で、地域のコミュニティの希薄化による「共助」が十分ではなかったからだと指摘されました。一方、阪神淡路大地震では、倒壊の建物の中から助け出したのは地域の消防団や近所の人達で9割もの人を救い出したとのことです。
日頃から地域の繋がりが大切ですね。
ところで、滋賀県は、県周辺域の内陸活断層による地震や南海トラフ巨大地震の発生を仮定し被害状況の想定結果を公表しているので、是非見て欲しいとのことでした。
気象現象は今後更に激甚化する傾向にあり、いつどこで災害が発生してもおかしくありません。皆さんの命は、先ずは皆さん自身で守ってください。
2023年3月17日(午前)
「 コミュニケーションや情報発信に役立つITツールを学ぶ 」
龍谷大学社会学部 准教授 坂本 清彦 先生
地域活動でのICT(Information and Communication Technology)ツールの利用の可能性を広げるため、いくつかのICTツールを紹介・デモンストレーションをして頂き、使い方をイメージすることができました。
先ず、「LINEオープンチャット」の説明がありましたが、LINEの友だちにならなくてもトークをしたり、情報をキャッチできるサービスや、興味関心事や日常生活に密着した話題について幅広い場面でコミュニケーションを楽しめるとのことでした。ただし、ユーザが匿名で参加できるため、荒らし行為(他者が不快に感じる書き込みや妨害行為)がしやすいとのことでした。
次に、「Googleアプリ」の説明がありましたが、簡単にリアルタイムで共有して共同編集し、コメント、提案が出来て作業が進めることができ、名前リンクを使って効果的なコラボレーションを実現できるそうです。しかし、メールアドレスを収集されてしまう、テキストメッセージを盗み読まれるなどの問題があるそうです。
講義の中で、講師からパスワードはどうしていますか、使いまわしをしてませんか、との問い掛けがありました。パソコンやスマホを使っていると、あっちでもこっちでもパスワードの設定が求められ覚えきらないため、同じモノで使いまわしている人が多いのではないでしょうか。この問い掛けに対し、それぞれ違ったパスワードの設定の仕方を教えて頂きましたが、非常に有益な話でしたネ。早速活用しょうーと!
2023年3月24日(午後)
「 地域文化とまちづくり 」
住みよいまち&絆研究所 代表 奥野 修 先生
地域にはいろいろな課題があるが、その課題を放置しておくと良くなることは何もない。
その解決には地域住民自身が参加しなくてはならないが、小さな課題解決の活動から始め、活動を記録し、反芻し、次につなげていくのが良いとのこと。
奥野さん自身の今後の活動方針としては、仕事の仲間と、園芸を深めて行き、老後には住みやすいまちづくりを目指して行きたいとのことでした。
第44期(1年)後期の基礎講座 2023年4月~2023年9月 |
2023年4月7日(午前)
「 アンガーマネジメントを知り感情をコントロールしよう 」
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 ファシリテーター 尾崎 沙千 先生
怒りは悪者やと思っていいました。怒りを我慢していたけど、時々大爆発。矛先は子供に行き、これではダメだとアンガーマネジメントを学びに行った、と尾崎さん。
怒りは防衛手段だけど、正体は“こうあるべき”と信じていたことが裏切られたときに怒ってしまうのだと分る。しかし、「怒りは飼いならすことができるよ」とも知る。
許せるゾーンの境界線を上げると良いけど、境界線が明確になっていないと、気分屋となって周囲が顔色を見るようになってしまう。安定した境界線を相手に見せることが大切で、そして言葉にして(具体的に)相手に伝えることも重要だと。
ところで、今の私たちの一日の情報量は、江戸時代の1年分だとか。だから情報を取捨選択することも重要だと。
そして、ものごとを、正しいか間違いかで決めないこと。私はこうだ、あなたはこうなんやと、相手のことを認めることが大切。
2023年4月7日(午後)
「 能へのいざない 」
観世流能楽師 吉浪 壽晃 先生
能楽は、奈良時代に中国から渡来した「散楽」という芸能が源流で、観阿弥・世阿弥親子によって「夢幻能」に、そして室町幕府の足利義満に庇護を受け、徳川幕府が「式楽」として定めたことにより、能になったとか。
、結婚式で必ずと言ってよいほど謡われた「高砂」は馴染み深いものでしたね。
ここで、世阿弥の言葉を紹介します。
「秘すれば花、秘せねば花なるべからず」。
表に表さずに隠してこそ花があり、隠さずに出してしまえば花でなくなる。隠しても隠れることなく現れるものこそ真の花である。良い言葉ですね。
2023年4月21日(午前)
「 インターネットと人権 ~SNS等のトラブルを未然に防ごう~ 」
一般社団法人ソーシャルメディア研究会 チーフ技術指導員 竹内 義博 先生
シニアの私たちは、そう簡単には騙されないと思っていますよね。しかし、現実はシニアは簡単に騙されるのです。人を介したオレオレ詐欺にも簡単に引っかかるのですが、若い時代には無かったインターネットやSNS等によるネットトラブルも結構多いのです。だからと言って今の情報化社会においてインターネットやSNSを恐れる必要はなく、これらを上手く使えばシニアでも外に出て行かずに便利に楽しむことができるのです。
そのためには、『正しく怖がり、賢く使う』ことが大切ですね。
賢い使い方:
①詐欺の手口の実態を知る → 「銀行振り込みだけ」、「電話しかない」、「口座が個人名義」、等の話が出れば先ずは疑う。
②実在するのか自分で調べる。
③被害にあったら → 直ぐに相談。『#9110』全国警察相談窓口か『188』消費者ホットラインに電話をするのも良い。
なお、被害を被るだけでなく、SNSで誤解を招く表現をする、真偽を確認せずに偽情報をリツイートする、個人情報を掲載する、等々を無意識のうちにしてしまい被害を与える側にならないように十分に気をつけよう。
2023年4月21日(午後)
「 滋賀県の河川環境 ~河川の研究を通じて~ 」
滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 専門研究員、立命館大学理工学部非常勤講師 佐藤 祐一 先生
マザーレイクゴールズ(MLGs)とは、私たち滋賀県民の暮らしを映す鏡の琵琶湖を切り口とした琵琶湖版のSDGsです。
この中で例えば、琵琶湖のマイクロプラスチック(直径5ミリ以下のプラスチック破片のこと)の問題を取り上げ、プラスチック自体は無害だが有毒な化学物質を吸着しやすく、それを魚たちが飲み込むことで生態系への影響が懸念されることをディスカッションしたとのこと。
なお、プラスチック類のゴミは、レジ袋、肥料袋、人工芝、洗濯ばさみ、植木鉢、発泡スチロール、釣り糸、歯ブラシ、ペットボトル、卵のパック等々、私たちの生活に欠かせないものですが、削減の努力が必要ですね。
2023年4月28日(午前)
「 これからの介護 ~最新の介護用具や介護事情を知る~ 」
一般社団法人日本福祉用具供給協会、(株)ヤサカ滋賀南支店 安村 庸 先生
今日は、滋賀県で福祉用具のレンタル、販売、介護リフォームをされている(株)ヤサカさんの安村さんの最新の介護用具や介護事情のお話です。
その話の内容は、
1.介護保険のサービスを受け入れられる人は、
65歳以上の高齢者で要支援・要介護状態の人、または40~64歳の特定疾患により要支援・要介護状態の人
2.介護保険と福祉用具について
居住の市町の保健福祉センターの介護保険の担当窓口で「要介護認定」の申請をして、要介護・要支援の認定を受けた人は以下の福祉用具を1割負担で借りることができます。
…手すり、スロープ、歩行器、歩行補助杖、自動排泄処理装置、車いすと車いすの付属品、介護用ベッド、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知器、移動用リフト など
3.最新の介護用具の紹介
介護用具はいろいろと新しいものが作られており、最新の介護用具の紹介を受けました。
…移動用関連機器、排泄関連機器、床ずれ防止、ベッド、認知症見守り、その他マッスルスーツエブリイ など
介護保険のサービスを利用した福祉用具を使って、普通の生活に戻れる、犬の散歩も出来るようになる等々、日常の世界を広げることが可能になるのですネ。
2023年5月26日(午前)
「 クラウドファンディングで地域貢献! ~地域活性化事例とプロジェクト成功のポイント~ 」
合同会社MediArt 代表 植田 淳平 先生
クラウドファンディングって最近よく耳にしますが、よく知りませんよね。
実はその歴史古く、アメリカの「自由の女神」を作る際に制作委員会が資金を使い果たして困ってしまい、新聞実業家ピューリツアーが広く大衆に資金の寄付を呼び掛けたのが始まりだそうです。1886年(完成年)の時の話だそうです。
そのクラウドファンディングを植田講師が企画、資金調達の方法などアドバイスして、「長浜観音の里・観音堂の修復」、「オカンの発酵便プロジェクト」、「江北図書館修繕プロジェクト」等々を成功させたそうです。
なおクラウドファンディングはインターネットを通じて不特定多数の賛同者から資金を得ているが、金銭のリターンを求めない寄付型と購入型(物やサービスで受け取る)、金銭のリターンを求める金融型、ファンド型、株式型に分かれるが、お金が絡むので賛同者の共感や信頼が大事ですとのことでした。
クラウドファンディングで地域の活性化に役立つ手法であると示されたのでした。
2023年5月26日(午後)
「 認知症サポーターに参加しよう 」
草津市健康福祉部長寿いきがい課
認知症を学び、みんなで認知症の人をサポートすることを学びました。
認知症は早期発見、早期対応が大事です。早期に発見して適切な治療を開始すれば、症状を軽減できたり、悪化をある程度防ぐことができる場合があるとのことです。
そして、私たちが出来る認知症の人への接し方は、認知症の人から声をかけるのは難しいので、「困っていそうだな」と思ったら認知症かそうでないかにかかわらず、声をかけるという意識が大事なのです。
この声をかけるとにき気を付けることは、
① 後ろから声をかけない
② 出来るだけ一人で声をかける(威圧感を感じさせない)
③ 穏やかにはっきりと話す
④ 相手の話に耳を傾ける
声かけで状況(家に帰る道)が把握できてない人であることが分かれば、場合によっては、警察や、役所に通報する等が大切で、みんなで認知症の人をサポートしよう。
2023年6月2日(午前)
「 災害ボランティア活動について ~被災地の活動から学ぶ~ 」
災害NGO 結~yui~ 代表 前原 土武 先生
東北の震災をきっかけに、日本全国の災害ボランティアのまとめ役を担って来られ、その体験を元に“本当の支援とは”と“日ごろの備え”についてを教えて頂いた。
その中で、「平時に出来ないことは、有事にも出来ない」と言明され、平時から出来ることを増やし、課題を解決できる力を備える、それが地域の防災力になるのだと力説されていました。
なお、事前の備えは、①受援力(外部から必要な支援を受ける力)、②連携(多種多様な方々との連携)、③自助互助が必要だと。
前原さんのモットーは、『自分一人のスコップを動かすより、1000人のスコップを調整する方が復旧復興に結び付く』で、含蓄がありました。
2023年6月9日(午後)
<校外学習> 『 湖上散歩 ~近江の文学・歴史・風土を学ぶ~ 』
文筆家・旅行作家 西本 梛枝 先生
人はその土地と一番マッチした暮らし方をするため、その土地独自の文化が芽生えて来た。
・日本人:自然と一緒に歩むことで、心地よい暮らしを生み出す農耕文化を生んできた。
・西洋人:自然を征服することで、便利な暮らしを生み出す狩猟文明を生んできた。
近江は、琵琶湖のおかげで程よい湿気がある。だから繊維産業、発酵食品が発展した。
(京都と彦根の湿度。年間を通して彦根の方が8%高い)
そして、びわ湖の漁は待ちの漁(エリ漁、ヤナ漁、等々)が主で、「摂りすぎないのが琵琶湖流」のやり方である。
この考え方、やり方は、「今」だけでなく「将来」を見すえる「近江」「共に生きる作法」をもつ地である。
このような風土が気に入り、松尾芭蕉は伊賀上野の人だが、たっての希望で木曽義仲の墓所の膳所儀仲寺に眠ることになったとのこと。
<ビアンカのデッキで風景を楽しむ> <ビアンカの船中での講義の前のひと時>
<ビアンカのクルーズを終えて>
2023年7月7日(午前)
「 特殊詐欺をはじめとする身近な犯罪から身を守る 」
滋賀県警察本部 生活安全企画課 警部補 関 早紀子 先生
特殊詐欺は、これだけ社会を騒がし続け、テレビや新聞報道で注意を喚起されているにも関わらず減らない実情を知ったが、そもそも自分は詐欺に引っかからないという自信が問題だと知り、改めて反省?警戒?しなければと。
なお、騙されない対策として、
① 自宅の電話は留守番設定に、
② ATMで携帯電話を使わない、
③ キャッシュカードを渡さない+暗証番号を教えない、
ことを教わった。
2023年7月7日(午後)
「 徳川家康と城づくり 」
滋賀県立大学 名誉教授 中井 均 先生
家康は、関ヶ原合戦直後、大津城に入城し、大津城の修復を命じるが、本田正信が長等山から見下ろされ攻められやすいと反対する。
その代わり、関ヶ原の戦いの翌年に東海道の押さえとして、膳所城を築城した。
その構造は、琵琶湖に浮かぶ本丸と二の丸で作られたが、そののち高島を震源とするM7.6の大地震で天守は傾き、本丸は湖中に崩れ落ちてしまった。(その後修復されるが)
家康の滋賀での築城は、天下統一への足跡を見事に伝える遺跡で、土の城から守りが固い石の城へと変えていった。
2023年7月14日(午前)
「 シニアのためのハラスメント講座 」
株式会社しがぎん経済文化センター 取締役社長 西堀 武 先生
人間は、忘れることで生きていける生き物である。
1時間後に半分、翌日には7割、1ヶ月後には8割を忘れてしまう。
しかし、ハラスメントは、忘れ去れずに、心に深い影響をもたらす。
・被害者には、士気の低下、能力発揮に支障、心の健康に傷を。
・加害者には、懲戒処分、指揮力発揮に支障を。
・周囲には、風土の悪化、士気の低下。
だからハラスメントを理解しよう!
2023年8月25日(午前)
「 近江と徳川家康との深い関係 」
近江歴史文化研究所 所長、淡海歴史文化研究所 所長 太田 浩司 先生
目下(2023年)放映中のNHK大河ドラマは「どうする家康」ですが、戦国時代の武将についていろいろと調査・研究をなされている太田先生が家康について語られた。
家康というと、信長や秀吉のように近江国(滋賀県)に本拠を置いたわけではないので疎遠と思われがちであるが、家康の人生においても節目となる事件がいくつか近江国内で起きていたとのこと。
それは、姉川合戦(米原市)、神君伊賀越え(三重県)、関ヶ原合戦後のことであり、家康と近江の深い関わりがあったのだと話し始められ、興味津々であった。
そして、
・信長の強さは家康無くしては出来なかったこと、
・家康にしてみれば三成と淀殿の二人の近江人脈を滅亡させての天下取りを成し遂げたこと、
・交通や流通の拠点である近江国を制しない限り家康は天下を取ることはできなかったこと、
・膳所城が家康の城づくりの第一号だということ、
など近江との深い関係の熱弁をふるわれていた。
しかし、「どうする家康」は史実と違うところが多くあり見るに堪えないと悲しげに言われていたが、私たち近江人(滋賀県民)は今日の講義で今までになくとても家康を身近に感じることが出来ました。
第44期(2年)前期の基礎講座 2023年10月~2024年3月 |
2023年10月13日(午前)
「 課題学習をみんなで進めるために ~学習計画立案のグループワーク~ 」
認定特定非営利活動法人 しがNPOセンター 理事 森川 稔 先生
さて、今日から2年生ですね。大講義室では1年生が後ろに控えていることやあと一年と言うこともあり、チョッピリ気が引き締まりますネ。
これから1年間をかけて行う「課題学習」についての話をお聞きしました。
課題学習については何でこんなことする必要があるんやとの意見もあるとのことでしたが、1年間いろいろと基礎講座や選択講座を受けて得た知識などを基に、クラスのみんなが自分のやりたいことを見つけ主体的に学びを楽しむことが大切と教わりました。
先ずそのためには各自がどのようなテーマをやりたいのか提案して似たようなテーマをまとめて、その発案者の人達がグループを組んで、それをどのような内容で目標とするか話して決めて行くのが良いとのことでした。
なお、いろいろなテーマ出しをしていくつかのグループ化をしてそれらのテーマに対し調査・研究などの進める方法には、ブレーンストーミング(グループでアイデアを生み出す集団発想法)、KJ法(複数のアイデアをグループ化させアイデアを整理する手法)、ワークショップ(参加者が共同で研究や創作を行うグループ学習や研究集会)の3つの方法があることを教わりました。
その後は、『これからの人生をいかに過ごすか』の話があり、次の2つのことが大切ではないかと提案されました。
■ まちを耕し、豊かにし、次代にひきつぐ
■ 仕事も趣味も貢献も「楽しむ」
そのためには、次のことを心掛けるのが必要と話されました。
◯ 社会とつながる … 自ら近づき開く
◯ チャレンジ精神 … ちょっとの勇気で新たな世界の扉を開く
◯ 汗を流す … 学びから実践へ
◯ ゆとりと笑いを … 表情、言葉、時には上手に負ける
◯ 取り組みを「楽しく」でなく「楽しむ!」
以上の話の流れで、『レイカディア大学での学生生活をより楽しくするにはどうしたら良いか』をテーマに、数人のグループに分かれて意見を出し合うワークショップが行われ、いくつかのグループに対して発表を求められました。その中には、他の学科との交流が欲しい、課題学習はなくして欲しい等々、なかなか辛辣な意見もありましたネ。
2023年11月10日(午前)
「 鈴鹿山麓小さな村のよもやま話 」
滋賀県レイカディア大学 第43期地域文化学科 卒業生 鍋屋 渡支雄 先生
今年(2023年)、レイカディア大学の地域文化学科を卒業された講師は、課題学習として「鈴鹿山麓小さな村の四方山話」をまとめられ出版されたのです。それは、生まれ育った鈴鹿山麓の小さな村(甲賀市土山町山内村)の歳時記をライフワークとしてまとめられたのでした。
廃れ行く農作業としてモミを蒔く体験や稲刈り体験を記し、昔の郷土の暮らしの囲炉裏での火おこしや煮炊き、箱膳での食事の光景を書き留められた。
また、村人が五穀豊穣と子孫繁栄を願うとともに、大自然に生かされているということに対する自然崇拝としての『山の神』があちこちの集落で、サルの日吉大社やシカの春日大社などを建てて崇められていたとの話があった。
さらに、村人が経済的に集まる「講」(頼母子講など)や信仰を同じくする者が集まる「講」(観音講など)そして社会的な「講」(萱講、池講など)の話があり、講と言う集まりが村人達に重要な役割を果たしていたことを解説された。
昔の村では自然を崇めつつ村人達のコミュニティーと共同生活を守るためと助け合いを大切にしていたことを四方山話として残されたが、現代のドライな社会を振り返ってみるに昔のウエットな繋がりも必要だなぁという思いに至りました。
2023年11月10日(午後)
「 子どもの居場所つくり ~家庭や学校にしんどさを抱える子どもたち~ 」
NPO法人こどもソーシャルワークセンター 理事長 幸重 忠孝 先生
児童養護施設は、保護者のいない子どもや虐待されている子どもなどを自立まで養護する施設で、2023年10月時点で4.2万人もいて、その98%は家庭で虐待を受けた児童であると聞いてびっくりしました。しかし、虐待があっても命が危なくない子供は施設に入れない、18歳になると施設を出なくてはならない(高校を卒業したら自立・自活しなければならない)、など考えられない現状に気が重たくなりました。
また、子どもたちの中には、ヤングケアラー(本来大人が担う家事や家族の世話などを日常的に行っている子供のこと)の子供、貧困家庭で苦しむ子供、学校でいじめに会う子供、と家庭や学校でしんどさを抱える子どもが沢山いるのです。
この現状に対し、今日のスピーカーのNPO法人こどもソーシャルワークセンターの理事長の幸重さんは、児童養護施設の児童指導員とソーシャルスクールワーカーとして出会った子供たちを見て、夜間に子供がひとりぼっちにならないように「トワイライトステイ」を立ち上げられたのでした。。
そして、週2回、夜10時から朝6時までインターネットを通した「夜回り活動」をされて、家出、自傷行為などをする子供たちの相談相手になっておられるとのことでした。
以上のような厳しい境遇の中にいてしんどさを抱える子供の実態や幸重さんの活動資金に苦労(R5年度は約5百万円の赤字)されながらも子供を救う活動されている状況を、映像や掲載の新聞のコピーで見せて頂きました。
ところで、私の娘は大学を出て児童養護施設で働いているので、その実態は少なからず知っていますが、施設の外で救われない多くの子供がいることにやるせない気持ちを持ちました。
2023年12月8日(午前)
「 今日から始めるフレイル予防 」
滋立命館大学スポーツ健康科学部 教授 真田 樹義 先生
まず、滋賀県の長寿のヒミツの話しだった。『男性は日本一位、女性は日本四位』の長寿県であることからスタート。なお、先生はスポーツのインストラクターの経験者でもあり、今日はビシバシしごかれそうだなぁ。
滋賀が長寿県であるヒミツは、健康な生活習慣を持っている人が多く、それを支える生活環境が整っているからだとのことです。
滋賀県民は喫煙率が低く,ボランティアの参加率が高く、スポーツをたしなむ男性が多く、学習・自己啓発・訓練に意欲がある、等の傾向があることが起因しているのではと。
健康づくりのための三大運動は、
① 有酸素運動 … ランニングなどが代表的で、心肺持久力をつける運動で、体に酸素を取り入れ、その酸素を燃やしてエネルギーを作り、体を動かす好循環のもとになる。
➁ 筋力トレーニング … スクワットと腕立て伏せがおすすめ。ご飯の前にスクワット10回するなどの習慣をつけると良いそうです。体の糖は80%が筋肉で消化されるそうで、健康寿命を延ばす要になっているそうです。
介護予防に関わる健康問題の話がありました。
介護状態に陥るのは、先ず「サルコペニア」から、「ロコモ」になり、そして「フレイル」の状態となり、介護を迎えるとのことでした。
・ サルコペニア … 加齢にともなって起こる骨格筋量の減少と筋機能が低下した状態
・ ロコモ … 運動器(骨、関節、筋肉・腱などを支え動かす役割の器官の総称)の障害によって移動機能が低下を来した状態
・ フレイル … 要介護状態に至る前段階で、身体的脆弱性だけでなく精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多くの問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招くハイリスクな状態
自分がフレイルの状態かどうかは、「昨年に比べ外出頻度が減っている」、「友人の家を訪ねていない」、「誰かと毎日会話していない」等々に当てはまると危ないそうです。お気をつけください。
さて、チョッピリ嫌われている体脂肪だけど、その役割は、①断熱、②緩衝作用、③エネルギー貯蔵、④ホルモンやビタミン、生体膜の主成分、⑤免疫作用の元で、“生命の維持に欠かせない”、“脂肪細胞に免疫作用がある”と体には重要なものなのですよ。
講義のまとめとして、
1.健康づくりのための運動 … 運動・身体活動は全身の器官を強くする 。
2.高齢者の特性とアセスメント … フレイルは介護の前段階。
3.高齢者のトレーニングの実際 … ウオーキング(歩く)、筋トレ(スクワット)で介護予防
余談ですが、亭主を早死にさせる10か条をお見せします。どう使うかは、皆さんのご判断で!
1.とにかく太らせる
2.酒は飲み放題
3.何もさせず、座ったままにさせる。
4.食事は動物性脂肪を十分に摂らせる。
5.塩分の多い食事に慣れさせる。
6.コーヒーは砂糖たっぷり。
7.煙草は出来るだけ吸わせる。
8.夜更かしをさせ、朝は早く起こす。
9.レジャーには行かせない。
10.暇さえあれば文句を言う。
2023年12月8日(午後)
「 滋賀県の気象特性と防災気象情報の利用について 」
滋彦根地方気象台 次長 山崎 誠導 先生
滋賀県の気象は、北部(湖北・湖西)が北陸・山陰型の日本海型気候区、南部の西側(湖南)が瀬戸内型気候区、南部の東側(湖東)が東海型気候区の3つに分かれるそうです。しかし、それぞれの気候の境目に山地があるわけではなく、湖岸に広がる同一の平地のなかで漸次的に気候が変化するという特徴があるそうである。しかし、琵琶湖があるため他の盆地と比較すると、夏の暑さと冬の寒さは幾分穏やかであるとのこと。
滋賀県の地上に吹く風は、周囲1,000ⅿ前後の山に囲まれた盆地であるためこれらの山に遮られてあまり強くないが、北の若狭湾から北西風、南東の伊勢湾から南東風、南西の大阪湾から南西風が卓越して吹くそうです。なお、山から吹きおろす局地的な強風(=おろし)は、比良山麓で台風や低気圧等の際に吹き返しで発生する強風の「比良おろし」、低気圧が東進する際に起こる南西の強風の「三井寺おろし」、南東風の時に関ヶ原地狭や鈴鹿峠から吹く強い南東風の「鈴鹿おろし」がある。
湖西・湖北地域は、大部分が特別豪雪地帯や豪雪地帯に指定されており、特に旧余呉町は近畿以西唯一にして日本最南端の特別豪雪地帯となっています。なお、滋賀県の大雪の記録は、伊吹山の1,182㎝(1927年2月14日)が山岳世界記録としてありますが、奈良の大仏の高さに匹敵するのですね。すごい!
さて、滋賀県での災害は比較的少ないのですが、以下の3つがあげられた。
・明治29年9月 琵琶湖大洪水(彦根豪雨)… 琵琶湖周辺の市町村が最大237日間も浸水し、死者29名、床上浸水35,627棟
・昭和28年8月 多羅尾豪雨 … 集中豪雨という言葉が初めて使われた大雨。6時間で400㎜という記録的な雨が降り、死者44人
・昭和34年9月 伊勢湾台風 … 紀伊半島から県東部を北東方向に進み、彦根で観測史上最低の気圧949.5hpを記録し、近江八幡の水茎干拓地では日野川の氾濫で3mも冠水し完全排水に40日もかかった
最近の気候変動で大雨災害はどこでも起こる可能性があり、局地化、集中化、激甚化の傾向があるため、過去の気象災害を知っておくことは重要だと力説されてました。そして、大雨警報などの発表中は『キキクル(危険度分布)』や気象レーダで雨雲の最新の情報確認、安全確保のための防災気象情報の積極的な入手と「早めの準備、早めの避難」を心掛けて下さいとのことでした。
寺田寅彦の「天災は忘れた頃にやってくる」、防災・減災の警句ですね。
2023年12月15日(午前)
「 日本の舞踏家が伝える美と健康 ~次世代へ伝え残す、大切な日本のこころと文化~ 」
正派 西川流 師範 西川 玉洲 先生
今日は初めての日本舞踏の話しでした。
講師の西川先生の出で立ちは、濃い紫色に金糸の帯で艶やかな和装で登壇され、皆は見惚れていました。
先生は、日本舞踏の五大流派(西川流、花柳流、藤間流、若柳流、坂東流)の一つの西川流の名取師範でした。
日本舞踏は世界の舞踏と同じく神様に捧げる祈りと感謝の意味合いがあるが、西洋の踊りは重心が上なのに対し、日本舞踊をはじめ東洋の踊りは重心が下とのことでした。これは農耕文化で足腰が強いことから来ているとか。
そして、日本舞踊は、三つの要素(「舞」:静かで内面的、「踊り」:身体で表現する動的、「しぐさ」:普段の動作)を持ち、着物を纏い、日本の伝統楽器での演奏や、唄の中で演じ、扇などで雨や風をなぞらえる「見立て」で想像を掻き立てる踊りです。
休憩後は、滋賀の地名(石山、堅田、矢橋など等)が随所に入った長唄「藤娘」を解説して頂きながら実演して頂きました。
以下の唄の一節から地名を探して見て下さい。
~近江八景を入れた歌詞(掛け言葉)~
♪ 男心が憎いのは、他の女子に神かけてあはづと三井のかねごとも
(男心が憎いのは、他の女子には会わないと約束して)
♪ 堅い誓いの石山に、身は空蝉(うつせみ)のから崎や、まつ夜をよそに比良の雪
(石山寺の観音様にかたく誓ったが、心はもぬけの殻。唐崎で夜中あなたを待つ私をよそに、まるで平野山の雪が溶けるように)
最後には、4人の学生を指名して、日本舞踏で人気の端唄(はうた)の「奴さん」の踊りを指導されましたが、日本舞踏が自分も楽しみ、周りも楽しませるものであることを教わりました。
2023年12月15日(午後)
「 動物との暮らし 三方よしを目指して ~犬猫を取り巻く現状と課題から考える~ 」
滋滋賀県動物保護管理センター 主幹 松本 浩樹 先生
午前中の日本舞踏とは打って変わり、犬猫を取り巻く現状と課題の講義を、湖南市にある滋賀県動物保護管理センターの松本講師からお聞きしました。
世帯におけるペットの飼養率(2020年)は犬が11.9%で猫が9.6%と犬が多いけど、飼養世帯における飼育頭数は犬が1.25頭で猫が1.75頭と猫の方が多頭で飼われているので、猫は964万頭で犬が849万頭となるそうです。この犬猫を合わせた1,813万頭は、15歳未満の子供の人口(1,512万人)を上回るとのことで驚きでした。
犬・猫の引取り数と殺処分率は、昭和49年度の引取り数が125万頭(犬118.7万頭、猫6.3万頭)で殺処分率が97.7%だったのが、令和2年度の引取り数は7.2万頭(犬2.8万頭、猫4.5万頭)で殺処分率が32.8%と激減しており、これはとても望ましいことですよね。
動物の飼い方の『三方よし』をお聞きしました。
・「飼い主よし」 … 飼い主が必要なしつけをし、迷惑をかけずに、動物と楽しんでいる
・「動物よし」 … 動物が幸せに最後まで大切にされ、十分なしつけで周囲に迷惑をかけない
・「近所よし」 … 地域で身近にいることを受け入れられて生活できる
このような三方よしの精神で動物が過ごせたら良いのですが、なかなか難しいようです。
センターの業務の役割の一つが動物の保護であるが、センターにやってくる令和4年度の犬は、迷子が206頭、飼えなくて連れて来られたられた犬が32頭だったが、迷子の犬が元の飼い主に戻ったのは63頭と飼い主が迎えに来られないのが多いそうです。飼い主に戻らないのは、センターを知らない、しっかり探さない、わざと遺棄するとのことでした。
次に、センターに収容された令和4年度の猫は337頭で、飼えなくて連れて来られた猫が126頭で捨て猫など保護をした猫が211頭と、犬より多く、子猫が生まれても飼えないため捨ててしまう人が多いそうです。これを子猫と成猫で見ると子猫が240頭で成猫が97頭で、子猫が多いのは放し飼いにする人が多い、不妊去勢手術をする人が少ない、野良猫が多いからだそうです。
いずれも飼い主による問題が大きい訳ですが、センターでは数値目標として収容数の削減、返還譲渡率の向上、致死処分のゼロを掲げ、様々な活動をされておられる状況をお聞きしました。
2024年1月12日(午前)
「 これからの時間の使い方 ~学びを活かす~ 」
夢こらぼ 主宰 松尾 やよい 先生
今年(2024年)初めての基礎講座です。
正月早々の元旦1日に能登半島地震(国内7回目となる震度7を観測)が起きて多大な災害が発生し重苦しい歳初めとなった。講義の前に災害に会った人たちに黙祷を捧げてから始まった。。
先生は「2つの10万時間」があることを話された。
先ずは、『一生涯で働く時間』として、20歳~60歳までの40年間の生涯労働時間が10万時間(1日10時間×250日×40年間)あると数字で説明された。なるほど、一言でいえば簡単だけど、物凄い時間だね。
次に、退職後の60歳~80歳までの20年間の『自分の自由時間』を次の3つの時間を各自が想定して算定しました。
①.睡眠時間・・・6時間
②.食事時間・・・3時間
③.風呂入浴時間・・・1時間 <左の時間は“ある人のモノ”です>
これより、1日の自由時間(24時間-生活必需時間(①+②+③))は14時間なので、20年間の自分の自由時間は10万時間(1日14時間×365日×20年間)となりました。なるbbほど、退職後の20年間は自由時間が10万時間が生まれるのですね。
この退職後の10万時間という膨大をどう過ごすのか重要ですね。
先生は、【誰と】【何をして】【どのように】過ごすのか重要と強調されて、次の3点に注視されてました。
1.(自分)時間・・・複数人で楽しむ、一人で楽しむ
2.(家族)時間・・・夫婦関係、家事分担を見直す
3.(地域)時間・・・お付き合いしやすい人を目指す、参加できる行事には参加する
また、生き方・お付き合い上手になるための次の7つの心得を提案されました。
その1:自己決定や自己責任を持つために、自分の方向感覚を大切にする
その2:自分が楽になるために、人や物の見方を変える
その3:地域で暮らすには、独り勝ちはNG
その4:何かをしてもらうだけが幸せでない、感謝・いたわりの言葉が大切
その5:興味を大切にして、結果を予測判断しないでやってみる
その6:自分に制限を設けず、人に柔らかに生きる
その7:生き方・人づきあいの極意はたまには上手に負ける
以上のことは、人を変えるのは難しいが自分を少し変えることで自分が楽になり、地域で自分らしく暮らせるのだと教えて頂きました。納得です。
2024年1月12日(午後)
「 想像力を高めて「もしも」に備える ~クロスロードゲーム~ 」
認定特定非営利活動法人 しがNPOセンター 西川 実佐子 先生
今から聞きなれない「クロスロードゲーム」を教えて頂きました。
クロスロードゲームは、カードに書かれた事例を自分の問題として考え、YESかNOかで自分の意見を示します。また、参加者同士が意見交換を行いながらゲームを進めるのです。このゲームを通じて、災害対応の場面で誰もが誠実に考え、対応することが重要であることに気づくことができるのです。。
講義では、次のようなクロスロード風ゲームが4つ出されました。
[設定1] 震度7の地震が発生。近所の家が潰れ、独居の82歳の介護度5の女性と、家族と住んでいる97歳の介護度3の男性がいた。どちらを先に助けますか?
[選択肢] ① 独居の82歳の介護度5の女性
② 家族といる97歳の介護度3の男性
③ その他
[設定2] 震度7の地震が発生して1週間。余震と断水で大勢の避難民が出て、毎日トイレには大勢の人だかり。仮設トイレが5基届くがどこに置くか?
[選択肢] ① 体育館近くの人が良く通る場所
② 体育館から少し離れたあまり人が通らない場所
③ その他
このようなゲームでも様々な答えがあるが、現状を分析し、先を読みつつ選択する判断力を高め合意形成を促す訓練が大切だと教わりました。
クロスロードゲームの基本は、大切なのは命と人権を守ることが第一であるが、日頃から災害が起こった時に「どうなるか」、「どうするか」を身近な人と話しておくことが大切ですね。
2024年1月19日(午前)
「 デジタル技術の活用について 」
滋賀県 総合企画部 DX推進課
今日は、高齢者が情報弱者(※)とかデジタルデバイドと言われることに対して(一概には言えませんが)、デジタル技術やその活用方法をいろいろと教えて頂けるようです。楽しみです。
(※)情報弱者とは、情報の入手や利用が難しい人を指します。インターネットなどで情報をうまく検索できず、使いこなす知識がない人、あるいは情報に接することはできてもうまく活用できない人も情報弱者と呼ばれることが多いそうです。情報弱者の関連語として挙げられるのが「デジタルデバイド」で、身体的・社会的条件から情報を活用できる人とできない人の間で生まれ
講師のソフトバンク(株)の黄瀬さんから、「society5.0」とはどのような社会か動画で説明を受けました。
これは5Gによって、災害時のドローン活用、遠隔診断、無人走行バス、VRでの観光などとこれまで以上に高性能で遅延が少なく、多数の機器を同時に接続することのできる通信システムが出来上がり、DXだけでなくビジネスのも大きなインパクトを与えると予測されているそうです。人口の減少もカバーされる可能があると話されました。
次に、「Line」についていろいろなことをデモンストレーションして頂き、改めて学習しました。次に、「Google Map」と「Googleレンズ」の使い方を学習しました。特に、Googleレンズは、花や城の画像を読み込んで名前を知ったり、外国の文字・文書の画像を読み込んで翻訳してくれるなど便利な機能を教えて頂きました。
しかし、LineやGoogleに習熟した人には少し物足りない内容だったかも。このような格差があることをデジタルデバイドというのですね。
なお、スマートフォンの使い方のデモの際には、先生の説明だけでは分からなかった方々にはレイカディア大学サポート会のデジタル隊の皆さんがそのフォローをして頂きました。
次に、最近いろいろな分野で活用されているAIの話がありました。AIは大きく4つに分けられるそうです。
・識別系AI … 画像認識、音声認識、動画認識など行う分野で、講義では茶色のトイプードルとから揚げの画像を見事に見分けました。
・会話系AI … Siriなどでなじみの深い会話系や「チャットAI」や「翻訳AI」が代表例です。
・実行系AI … 体や物体を動かすことをメインにしており、「自動運転」や「ドローンAI」などが代表例です。
・予測系A I… この仕事は考えて予測することで、判断や計画を担っており、「需要予測AI」「異常検出AI」などがあります。
ここ数年で、AIは大変身近になりましたが、いろいろと問題も抱えていますね。
次に、滋賀県の地域DX連携推進室の方から、滋賀県では人が人らしく生活し続けられるデジタル社会の実現を目指して、DX推進戦略や取り組みの概要説明を受けました。
2024年1月19日(午後)
「 古地図で訪ねる近江 」
元滋賀県立高等学校 校長 松井 善和課 先生
古地図から学ぶ近江・滋賀というタイトルで講義がなされたが、開講一番に能登半島地震で2ⅿ隆起したが4,000年のレベルの話で行けば驚きはしないと話された。それは地図をみると日本海で北に突き出ているのは能登半島だけで、歴史的にこの地域だけが隆起している証だと言われた。そして、これが古地図から読み取る「読図」で、古地図は知識の宝庫だと語られた。。
さて、奈良・平安時代では全国を五畿七道と分けて、都(難波宮、平城宮、平安宮)周辺を畿内五国(大和・山城・摂津・河内・和泉)とし、それ以外の地域をそれぞれ七道(東海道、東山道、北陸道、山陽道、山陰道、南海道、西海道)に区分した。
なお、近畿は都に近いという意味で、関東より以北は道の奥なので奥州とし、北陸は山を越えるから越の国となったとか。
ところで、近江は12郡(伊香、浅井、坂田、犬上、愛知、神崎、蒲生、野洲、栗太、甲賀、志賀、高島)が1,000年続いたが、これらの郡は明治維新と廃藩置県で大津県、長浜県、滋賀県、犬上県と管轄が変わっていった。
なお、江戸時代に権力のあった彦根は明治には冷遇された。
また、明治9~14年は、福井県の若狭、大飯、遠敷、三方、敦賀が滋賀県の管轄となり、唯一日本海に面する県となった時期があった。
ところで、滋賀は水運の利便性が良いことが繁栄をもたらしたが、これは琵琶湖の存在だけでなく117本もの琵琶湖に流れる河川が滲み出し川であったことも大きな要因だったと語られた。滲み出し川とは、山間部に降った雨が地中に滲みこみゆっくりと平野部から琵琶湖に流れるため、真夏の日照りでも河川には水量があり船で川を遡って運搬が出来たのだった。
併せて、鉄道も着々と整備され、米原~敦賀間は明治15年に米原~柳瀬間が開通し、長浜~大垣間は長浜~敦賀間の全通直後の明治17年に開通しました。明治5年に新橋駅~横浜駅間が日本で初めて鉄道が整備されてのですが、その10年後に滋賀県で鉄道が整備されたのですね。
なお、先生は古地図を沢山購入されてそれらを見せて頂きましたが、後世に残したい歴史地名は文化財であり、日本人の誇りにし、古地図から創造する未来の姿を描くことが大切だと熱弁を振るわれてました。
2024年1月26日(午前)
「 疫病対策としての大津絵 ~その大津絵の先駆性~ 」
大津市歴史博物館 学芸員 横谷 賢一郎 先生
今日は、大津市で江戸時代初期から東海道を旅する旅人たちの間の土産物・護符として知られていた大津絵の生い立ちを解説して頂いた。
鍾馗 … 中国・唐の時代にマラリアにかかった玄宗皇帝が、大男が小鬼を退治する夢を見て、目覚めると全快。夢に出た大男が鍾馗の名乗ったことより邪気除けのモデルになった。江戸時代、疫病は戸口から侵入すると信じられ、鍾馗の絵を戸口に貼り疫病除けにした
為朝 … 平安時代に実在した源為朝がモデルで、大男で大弓の達人だが粗暴で八丈島に流罪になったが、八丈島で疱瘡の流行がなかったため、為朝が疱瘡神を退散したと信じられた。為朝の絵を掲げておくと症状が軽くて済むと、験(げん)を担ぐ画題となった
なお、疱瘡の正確な起源は不明だがエジプトに最も古い記録があり、そこからシルクロードを越え、海を渡って飛鳥時代に日本に到来したようだ。それ以降に数年おきに大流行が発生し、奈良時代に3回、平安時代に20回、鎌倉時代に8回、南北朝・室町時代に12回、江戸時代に15回と猛威を振るったそうだ。
ちなみに疱瘡は、ヒトに対して非常に強い感染力を持ち全身に膿疱を生じ、致死率が平均で約20%から50%と非常に高かったので、恐れられていたのだ。
ところで、護符として売られていた大津絵は、合羽摺りという方法(着色したい部分を切抜いて穴をあけた渋紙を型紙としてあてがい、その上から刷毛で色を塗る技法)で、旅人に街道脇で簡単に刷って色付けして見せながら仕上げ、千円程度の安価にしたため良く売れたようだとか。
大津絵の生い立ちと人気を高めて行ったのは、疱瘡の流行と大いに関係あるとの見立てに納得しました。
しかし、ジェンナーが種痘を考え出し、江戸末期に種痘所が出来て疱瘡の恐怖から解き放されようとするまでは、神にすがるしかなすすべがない時代には大津絵にすがりたい気持ちは大いに理解できますね。
2024年1月26日(午後)
「 近江の歴史文化 」
特定非営利活動法人 歴史資源開発機構 主任研究員 大沼 芳幸 先生
さー昼からは、NHKの大河ドラマ「光る君へ」でやっている紫式部の話です。
紫式部という名は本名ではなく、宮仕えする際の女房名(※)だそうです。なお、当時の日本では、女性の名前は夫にしか明かさないという風習があったそうです。
(※)「女房名」とは、平安時代から鎌倉時代 にかけて、貴人に仕える女房(女官)が仕え先の主人や同輩への便宜のために名乗った通称
初めは「藤式部」と呼ばれていたが、源氏物語に登場する「紫の上」が容姿や性格ともに素晴らしい女性として描かれていることから、藤式部から「紫式部」に名前を変更したとのこと。
当時では超晩婚の20代後半で結婚したが、3年ほどで夫と死別し、その現実を忘れるために物語を書き始めたのが「源氏物語」の始まりで、その評判を聞いた藤原道長(平安中期に公家で最高位の太政大臣を務める)に召し出され、道長の娘で一条天皇の中宮(皇后)の彰子に仕えた(家庭教師として)間に54帖の物語を完成させたのでした。
なお、当時は紙が貴重で、紙の提供者がいればその都度書き、仲間内で批判し合いながら楽しんでいたとか。ちなみに、父の為時は、道長の任命により越前和紙の産地の越前国司に任官ができ、富を得えるとともに、紫式部も越前に行って大いに越前和紙を使って物語を書いていたかもしれませんね。。
さて、紫式部を近江に招いたのは石山寺の本尊の「如意輪観音」でありました。
如意輪観音は、安産・福徳・縁結び・厄除けの御利益をいただける観音様として信仰を集め、平安時代には石山寺は京都の清水寺や奈良の長谷寺と並び「三観音」と称され、京都の貴族たちの間では「石山詣」が流行したそうです。
ちなみに、平安時代に石山詣をした貴族の中には紫式部のほか、『蜻蛉日記』を書いた藤原道綱の母、『更級日記』で知られる菅原孝標の次女など名だたる女流文学者たちもいて、彼女らはお堂に籠もり夜通し祈願する「参籠」を行ったそうです。
紫式部は、時の彰子中宮から「新しい物語を読みたい」との要望を受け、物語を作るため石山寺で llang=EN-US>7日間の参籠をして源氏物語を起筆したという伝説が残っています。
それは、紫式部が参籠の後に御簾を開け、その日が中秋の名月で琵琶湖に映る月を眺めていると、京の都から須磨へと流された貴公子が月を見て都を恋しがる場面が浮び、「今宵は十五夜なりけり」と書き出したのが、『源氏物語』の始まりといわれているそうです。
石山寺があったからこその源氏物語なのですね。しかし、石山寺も紫式部を利用して、したたかに生き延びる戦略を立てて歴史を経て来ていることを知りました。歴史は面白いですね。
2024年2月2日(午前)
「 植物観察のススメ 」
植物観察家、植物生態写真家 鈴木 純 先生
だれでも、どこでも、いますぐに、身近な植物観察のススメのお話でした。
野草は食べられます。山野草はお茶になります。そもそも野菜のルーツは山野草だけど、野菜は人によって過保護に育てられているため、山野草を野菜と一緒に育てても育たず枯れてしまうのです。
鈴木先生は、植物に興味を持って東京農業大学に入り、卒業後は4輪駆動車で2日間かかる「ヒマラヤの青いケシを見るツアー」などを企画されていたとか。
今は、身近な植物を探すツアーを企画・実施されておられ、駅前ロータリーに集合して、一時間くらい周辺に生えている植物を探すそうです。身近な植物でも結構面白く、例えば次のようなことが見られるそうです。
・カタバミ … 葉っぱを10円玉にこすりつけると、葉に含まれるシュウ酸によってピカピカになる。
・たちばな(橘) … 葉っぱがないと生きて行けない木で、葉っぱを食べられないように色々対策をとっている。
・シロダモ … 葉の裏が白いことが由来で、葉の裏がロウ質に覆われており、種子から油を採って蝋燭を作っていたそうです。
・ネジバナ … 身近なランの花で、虫を誘い込むためにねじれて沢山花が咲いているようにしているとか。ラン科は花粉を固まりにしているので、虫によって大量に花粉が運ばれるそうです。
・ヒイラギ南天 … 黄色い花が咲き、甘い香りがする。虫が蜜を吸いに雌しべに触れると雄しべがキュッと雌しべの方向に動いて花粉を虫の体に付着させる。
ところで、一見雑草が生えていない土から雨にあたったら雑草が生えてきたという経験はありませんか。雑草の種は、何年たっても生きていることができ、水などが与えられると土の中から芽生えて来るのです。すごいですね。
さて、植物の名前を知る方法としては、“樹は葉っぱ”を見てから、“草は花”を見てからその形で名前を調べることができます。草は短命、樹は長生きですが、是非、身近な植物の名前を調べ、その由来や性質などを楽しんで下さい。
2024年2月2日(午後)
「 健康寿命延伸のために有用な運動 ~シニアに必要な運動を学ぼう~ 」
滋賀県立大学 名誉教授 寄木 明 先生
運動生理学、スポーツ栄養学、応用健康科学を専門とされる寄本先生の講義の始まりです。
イギリスの雑誌「エコノミスト」に『Japan’s burden(日本の重荷)』というタイトルの表紙に、大きな日の丸の下で子供が必死で支えている絵が一緒に載りました。それは日本の今後の姿すなわち日本は若者に大きな負担を背負わせることを暗示しており、高齢者が若者たちに負担をかけないようにしていくことが必要だ
今の日本の健康寿命が男性72.68歳、女性75.38歳で、平均寿命が男性81.47歳、女性87.58歳と、健康寿命と平均寿命との差は男女とも約10年となっている図を見せられて、「あなたはその人生の最後の10年をどう過ごしますか?」というのが寄本先生の問いかけがありました。
老いて寝て過ごすのか、皆と笑いながら元気に過ごすのか、それはあなたの努力次第だと。ではどんな努力をすればいいのか、それは健康でいることだと。健康でいることの三本柱は、“栄養”、“休養”、“運動”だと。ただし、栄養と休養は取ると決めれば良いが、運動は自ら体を動かさねばならない大きな違いがある。
では、運動不足になるとどうなるか、ベットレスト実験(3~7週間、ベッドで安静生活)によると、
① 心臓容積の減少(心機能の低下)
② 体重の変化はなく、筋肉量の減少、体脂肪量の増加
③ 持久性能力の低下
④ 尿によるカルシュウム排泄量の増加。(骨の弱化)
⑤ 貧血の発生
⑥ 平衡機能の低下(転びやすい)
運動を繰り返すと筋繊維が太くなり持久力などの向上になるが、運動を行わないと廃用症候群(体を動かす時間・強さが減り、体や精神にさまざまな不都合な変化が起こった状態)になるとのこと。
なお、健康寿命を阻害する因子を予防するには、運動が一番とのこと。ちなみに、運動の種類によって以下のような有効性があるとのこと。
・有酸素運動 ⇒ メタボに有効
・軽い筋トレやストレッチ ⇒ ロコモ、サルコペニア、フレイルに有効
・軽度の有酸素運動やデュアルタスク(一度に2つ以上のことを同時に行うこと)⇒ 軽度の認知障害や認知症に有効
・暑さが厳しくなる前の有酸素運動や軽い筋トレ ⇒ 熱中症や暑熱障害
なお、ウオーキングの効果は、次のような予防や効果があります。
① 心疾患の予防・改善
② 肥満、動脈硬化・高血圧の予防・改善
③ 糖尿病の予防・改善
④ 生活の余力の増加(疲れにくくなる)
⑤ 粘り強い筋肉と平衡機能の向上(倒れにくくなる)
⑥ 骨からカルシュムの脱出を予防(骨粗しょう症の予防)
健康づくりのための運動は、全身持久力の50%の強度でサッサと早歩きで良くて、一回20分以上だけど目標は30~40分で、週に3~4回以上(最低は週1回)行うことだそうです。なお、ノルディック・ウォーキングは、通常歩行よりも遅い速度で安全に運動強度が得られ高齢者や肥満者に適した歩行運動だそうです。
そして、高齢者が心配する認知症を予防するには、前頭前野をトレーニングすることが重要で、それには話すこと、思っていることを言葉にして口から出すことが重要だと教えて頂きました。
最後に先生から
・目指せ PPK! →ピンピンコロリ
・無くそう NNK!! →ねんねんころり
2024年2月9日(午前)
「 介護予防と地域との連携について ~健康、働くをキーワードにした実践事例からの新たな展望~ 」
特定非営利活動法人 加楽 理事長 楠神 渉 先生
滋賀県介護支援専門員連絡協議会でも活躍されている楠神講師による講義の始まりです。
介護支援専門員、略してケアマネージャーの役割は、地域の中で個人が暮らしやすく、住みやすい地域づくり、街づくりをも考えていく役割を担うのですが、それをまさに自身で実行されておられます。
介護予防と地域との連携を考えるきっかけは、2019年7月の楠神先生の住まれている東近江市での出来事で、地区に唯一のスーパーの閉店が決まったことでした。地区外まで買い物に出かけづらい高齢者を支えようと、翌月には地元住民による任意団体「愛東の暮らし・つながり創造会議」を発足させ、2年間の準備会議のあとの2021年8月に「i・mart(アイ・マート)」をオープンさせたのでした。街の灯りを消してはならないと、i・martにはスーパー再建を通して地域の住民、医療、介護が連携して、引きこもり者や若年認知症の方の働く場、ママ友さん世代の活動の場、高齢者の健康作り、買い物支援等々の居場所として作りあげました。
そしてまた、愛東くらしの会議では近江温泉病院との協同で、病院の送迎バスを高校生の通学支援(朝は能登川駅から病院への利用が多いが、その逆の病院からの駅の利用者が少ないのを活用して。夕方はその逆で)に利用する取り組みを可能にしたのでした。
ところで、介護の仕事をしていて、介護予防と健康力アップには、次の1+3つのポイントを心掛けることが大切だと。
・心…「ついているね」と何でも良い方向に考える
・食…「食事を工夫」する。減量も栄養バランス良く、楽しくする
・体…「日常生活での適度な運動」をする。かかと落としの運動や大股で歩く等
・社…「つながりを持つ」。社会性が低下すると外出が減り運動機能が低下する
しかし、介護保険が出来て23年になるが、これによって地域・家族の関係が希薄になってしまったように感じられると吐露され、だからこそ地域の中に居場所・相談できる場所があることが大切だと。時計の針は戻らないが、住民さんをど真ん中
2024年2月9日(午後)
「 山門水源の森 ~この森の3つの特徴と、その保全~ 」
山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会 事務局長 富岡 明 先生
午後からは、長浜市の奥びわ湖エリアにある山門水源の森について、「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」の事務局長の富岡講師から、森の特徴と保全についての講演がありました。
山門水源の森は、環境省の「自然共生サイト」の認定を受け、民間による生物多様性の保全が図られており、滋賀県で認定を受けた7地域(団体)の一つです。なお、2021年G7サミットで日本は2030年までに国土の30%以上を自然環境エリアとして保全することを約束しているが、国の管理エリアだけでは足りないので、
民間管理の自然共生サイトを設けたとのこと。
このような自然共生サイトの山門水源の森ですが、福井県境の分水嶺から琵琶湖淀川水系の一部となって、すなわち大浦川→琵琶湖→瀬田川→宇治川→淀川と流れて行き、1,400万人の飲料水として利用されているとのこと。従って、生活・生産・防災に関わる水なので、水を守るということは森の健康を守ることなので、本来はもう少し森林の健康状態に関心を持つべきでしょう!と冨岡さんは力説されました。
この水源の森の場所は、日本海側と太平洋側を分ける中央分水嶺(山の頂点の連なり)の南側に位置し、そして森のある県境の山が低いため敦賀方面からの冷たい北風と伊勢湾方面からの温かい南風が流れ込む場所なので、涼しい地域の植生(ブナなど夏緑樹林)から暖かい地域の植生(アカガシなど照葉樹林)の両方の群落がみられる(混ざっている)ところだと。また、この森の場所は、かつては古代から近代に至るまでの交通の要所の里山で、大陸との交流ルート上にあり1000年以上の昔から人々の暮らしに利用されて来たところだと。
ところで、日本では湿地が開発で減少しつつあり、多様な湿原の植物や水生昆虫や両性類が棲む場所が消えて行っているが、湿地でもある山門水源の森も1990年にゴルフ場の計画が上がるが1996年に開発会社の倒産を機会に滋賀県が公有地化され、2001年に「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」を設立して県有地となって一般公開(国松知事の時代)がなされたのである。
ここから、引き継ぐ会の活動が始まりました。
まず、保全、放棄林の再整備を始めたが、2010年頃から多発したナラ枯れの対策の必要の一方で生物多様性を保全する議論が出て、それと並行に獣害の問題が発生し、氷河期からの生き残りと言われ南限のミツガシワの激減、等々の多くの課題が出てそれらへの対策を行っているとのことでした。
私たちは、森林から沢山の恵みをもらっています。
〇きれいな水、酸素を作る
〇二酸化炭素を溜める(温暖化防止)
〇いろんな生命を育む(生物多様性)
〇暮らしに必要な材料を生み出す(木材など)
〇心と体を健康にする(森に入る楽しみ)
〇災害を防ぐ(土壌の水を溜める機能)
しかし、森林からの恵みはタダで手に入るため価値が分かりにくいため大事にしにくい。そして直接暮らしに関係ないので、関心を持たれにくいのです。
だから、様々な方面の沢山の人に関心を持ってもらい、出来ることをそれぞれの立場で関わってもらいたいと。そして、いかに山門水源の森を、次の世代に引き継いでいくかが課題だと訴えられました。
2024年3月1日(午前)
「 人生100年時代において、笑いの大切さを ~人がいるから笑いがある~ 」
雲迎寺 住職 久志 則行 先生
今日の午前中は、滋賀県蒲生郡の雲迎寺(うんこうじ)住職の久志先生の話しから始まりました。
当初から住職ではなく、その前は笑福亭鶴瓶の弟子として「笑福亭瓶太」と名乗り30年間も落語家として活動されていて、10年前に出家し浄土宗雲迎寺の住職になってから3年目だとのことでした。
仏門に入ることになった切っ掛けは、ある法要で僧侶に何気なく『自分のような人間でも仏門に入れるのか』と訊ねてみたら『その気があるなら弟子にしますよ』と言われてなったとか。そして、ほぼ10年間住職がいない「無住寺」状態で檀家が10軒だけの雲迎寺の第20代住職になられたそうです。でも、「てんご堂雅楽」と名乗り落語の仕事も続けたいので願ったり叶ったりで、喜んで住職になられたそうです。
さて、お話は、僧侶の衣服の「改良服」(普段着として着る略式の法衣)、「輪袈裟(わげさ)」(僧侶 が首に掛ける袈裟の一種)、作務衣等の話を聴きました。
次に、本題の人生100年時代において笑いの大切さを面白く可笑しく話をお聞きしました。
その話のキーワードは、次のもの以外にも笑いで忘れるほど一杯ありましたが、笑いの連続の中でお聞きしました。
・健康であるには、笑いが必要。笑いは気持ちだけでなく、深い呼吸をするから
・顔を見て「許す」「折り合いをつける」ことをしてきたが、笑い合えることは許しあう事
・人との付き合いはお互いに集うことで始まる。人は一人では生きていけないのでから
1時間の話しの後の休憩後には、袈裟を脱がれて、落語の高座の時のような着物を着て登壇され、後半は落語会となりたいへん楽しかったです。
なお、雲迎寺は、「さつき寺」とも呼ばれており、境内一杯にさつきの古木が生い茂り、6月上旬から中旬にかけての開花時期には、紅一色の燃えるような見事な眺めが展開されるそうです。一度、見に行きたいですね。
2024年3月22日(午前)
「 終活に向けての基礎知識 ~遺言書とエンディングノート~ 」
滋賀県立大学 名誉教授 寄木 明 先生
私たちにとって大切な話しである『終活』について今日の午前中にありました。
1.終活って何をする?
終活と聞いて、葬儀の準備、資産の書き出し、断捨離、遺言書の準備などが直ぐに思いつくが、「放置していること」「気がかりになっていること」など次の世代に先送りしないことに対処し解決しておくことが大事だと。
例えば、
・先祖名義のままの不動産の相続登記
・近隣とのもめごと(境界問題、越境など)の解決
・今後誰も世話できないお墓の墓じまい
2.エンディングノートには何を書くの?
家族や大切な人に次のようなことを書くが、いろいろと考えながら書くと時間がかかるので、完璧主義にならずに思いつくことから書くことが必要とのこと。
・放置していたことや気がかりなことに取り組んだが、解決には至らなかった時の経緯の申し送り
・家族に知っておいてほしい自分の事(希望)
3.遺言書には何を書くの?
エンディングノートとは違い、主な目的は自分の財産を誰にどのようにあげるか「遺言者の意思」を優先して法的効力(強制力)を伴い言い残すことができるモノが遺言書である。
なお、遺言書を書いた方が良いかどうかについては、一般的基本的に書いた方が相続人全員で話し合いができない、話し合ってもまとまらない、相続人同士の不仲、連絡が取れない等々の解決に多くの時間と費用を要するケースを避けられるので良いとのこと。
4.遺言書を知ろう
遺言書の種類はいろいろとあるが、「自筆証書遺言」か「公正証書遺言」がほとんどで、それらには次のメリットデメリットがあると。
・自筆証書遺言…遺言者自身が作成し費用はかからないが、内容が不明瞭だと無効になり、改ざんの危険や発見されないおそれもある。
・公正証書遺言…公証人が作成し誤りがなく、原本も公証役場に保管され改ざんの危険はないが、費用がかかりいつでもどこでも作成することはできない。
5.遺言書を書こう
では、どちらが良いかは、作ったあとに書き直すかもしれない場合は自筆証書遺言で、内容を決めた場合は公正証書遺言となるが、公正証書遺言も後で書き直せるので、公正証書遺言がおススメとのことでした。
なお、遺言書には、作成日の明確化(“令和6年2月吉日”は日付が特定できないのでダメ)、不動産の明確化(“自宅を相続させる”との記載はダメで登記簿の地名番地を書く)等々の記載のルールがあるので、自筆証書遺言は作成後には必ず専門家のチェックが不可欠とのことでした。
6.遺言の弱点
遺言書を作成しても効力発生までに、例えば災害や不動産の処分などで事情が変わることがあるが、その度に書き直すことは可能だが、ボケたりして遺言能力が無くなるような事情の変化によって書き直すことが出来なくなることもある。
また、相続人(受遺者)との気持ちにズレが起きたり、相続人から遺留分侵害額請求(自らの有する遺留分よりも相続によって取得する財産の方が少ない状態に対し、その差額を請求するすること)が起こることがある。
遺言にはこのように問題、弱点もあるので、作成しる場合にはよく考えて下さいとのことでした。
7.エンディングノートを作成してみよう
講師が配られた資料の法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」を用いて書き方などを教わった。
財産の所有状況、家族や相続人に伝えておく必要があること、デジタルデータ(ID,パスワード)、遺言書の作成の有無、病気や入院のこと(既往症や延命治療についてなど)、葬儀・埋葬方法、大切な人やお世話になった人への伝言などなど簡単に書けないことを改めて認識しました。そろそろ準備をしなくてはダメですね。
2024年3月22日(午後)
「 楽しく豊かに生きるための基礎講座 ~薬の正しい使い方~ 」
一般社団法人 滋賀県薬剤師会 様
お昼からは、草津、栗東、守山で薬局を開いている薬剤師の村杉先生の講義でした。
薬に関してのよくある3つの質問とその答えをお聞きしました。
①医師の処方された薬を飲む注意点-お茶で薬を飲んでもいいの?
⇒水で飲んで下さい。でもほとんどの薬はお茶でもOKだが、薬剤師に確認して欲しい。
②薬や健康食品の広告に関して注意する点
⇒薬効や副作用は人それぞれです。効果のない偽物の薬を飲んだにも関わらず症状の改善や副作用がみられるプラセボ効果を理解して広告を見て欲しいが、その効果については先ず薬剤師に相談をして下さい。
③飲み忘れの多い場合、処分?再利用?
⇒飲み忘れの薬を再利用して飲むことは可能だが、何で飲み忘れたかの原因を考えて飲み忘れの対策をして下さい。
<薬の服用の基本>
さて、薬は正しく飲めば、薬が血液に溶けている濃度が適正な状態となり効果を発揮するように作られている。従って、「効かないからもう1錠」や「痛みが軽いから半分だけ飲む」などはNG。また、食前に飲むと指示されているのに食後に飲むと効果がゼロになったりする。自己判断での薬の服用は絶対ダメです。
<副作用>
ところで、薬には副作用があり、特に高齢者は注意をしなくてはならない。例えば、痛み止めのロキソニンは飲み薬、貼り薬に使われているが、50種類以上の副作用があり、特に肝臓や血液や糖尿等に重大な副作用があるそうですが、ロキソニンの注意喚起の説明書は原稿用紙25枚分もあるそうで素人の我々には読解不能ですね。これ以外にもハイリスクな薬が多数出回っており、命の危険に直結するので、副作用がある薬をもらう際には薬剤師に確認した方がいいですね。
<飲み合わせ>
また、薬には飲み合わせが星の数ほどあり、処方箋の薬や市販薬だけで起こるのではなく、健康食品、嗜好品、サプリメントとの飲み合わせもあり注意を要するが、これまた素人の我々には対応が難しいので、危険性の高い薬については薬剤師に聞くことと、体に異常を感じた場合には即座に病院に直行すべきです。
<薬剤師の役割>
①届ける(医薬品の供給)
正確に、正しい使い方を、情報(副作用、飲み合わせ、ジェネリックなど)を、家に届ける
②支える(服薬支援)
飲めない薬や使いづらい薬を、飲みやすくや使いやすくするなど服薬の支援をする
③管理する(薬学的管理)
薬学の知識でもって、薬の効果を最大限に発揮するように、そして副作用を最小限にするように管理する。管理するのに必要なことは、患者との「おはなし」によって効果や副作用を聞くことが大切。また、場合によっては、医師に処方の変更を提案する。
④連携する(多職種連携)
医師に対して唯一処方に対し提案が出来るのが薬剤師であり、「疑義」があれば良しと連携して解決してから調剤する。医師だけでなく、患者の生活状況や体調などについて、ケアマネジャー、地域包括支援センター、市の担当課、その他の多くの職種の方と連携し、それぞれの専門家が情報や課題を共有して解決する必要がある。
<生活習慣病対策>
生活習慣病は、危険性があっても対策が出来なければ、病気になり進行するので、バランの良い食事、適度な運動などを“継続して行う”ように意識づけ動機づけが大切と話されました。
しかし、続かない人は、バランスの良い食事と適度な運動を目標に、我慢してでも続け、すぐに結果を求めるためリバウンドすることが多い。一方、続く人は、出来ること・続くこと(500mのランニング、3分間の柔軟体操など)を目標に、楽しんみながら行うため自然と結果が伴い、安眠や体形の変化などの派生の効果が起きて続くのだと。
なお、生活習慣病の対策に何で薬剤師がと思われるかもしれませんが、医師、看護師、心理士などいろいろな人と連携して、薬のことから健康について提案をしている。例えば、一般的な血圧薬は7mmHgの血圧を下げ、1gの減塩で血圧を1mmHg下げれるなどを提言している。しかし、血圧薬を飲んでいるが胡麻麦茶は血圧を下げるのに良いので薬を減らすとか、あのサプリは良いので1錠を2錠飲むとか、糖尿病・高血圧の人が服薬で調子が良いので今の暮らしのままにしている(生活習慣の見直しが無い)とかの話をよく耳にするが、誤った知識を薬剤師として注意を促している。
<まとめ>
①正しい知識を得て、正しく行動を
・薬は、正しく飲めば効果があるように作られている。「効かないからもう一錠」「今日は半分だけ」は絶対ダメ。
②一人ひとりができる範囲の健康行動を
・生活習慣病の対策は、できることからはじめ継続する。
③専門家と仲良くなって活用を
・近くの薬局で薬剤師の名札で名前を覚え指名し、いろいろと相談をする。
④薬剤師は身近でお得な存在だ❕
・副作用や加齢の変化や、飲みづらい薬や量の多い薬に対して、お気に入りの薬剤師なら解決につなげてくれるかも。お得な存在ですよ。
第44期(2年)後期の基礎講座 2024年4月~2024年9月 |
2024年4月12日(午前)
「 高齢者を狙った悪質商法 」
滋賀県消費生活センター 相談員 様
高齢者が引っかかりやすい悪質商法に対して賢くなりましょうと、滋賀県消費生活センターの講演の話しでした。なお、消費生活センターは契約のトラブルなどを受ける行政の窓口とのことで、何かあったら相談をしましょう。トラブル解決のための助言、情報提供、事業者との交渉を、消費者が事業者と対等に渡り合えるように支援し、それは相談無料で秘密厳守で行って頂けるそうです。
全国の消費生活センターに入る相談件数は2022年に年間で約87万件、被害総額は6.5兆円にも及ぶとのことですが、数字に表れない隠れた件数と被害総額がこれの何倍かあるようです。なお、滋賀県での消費生活相談は、60歳以上が40%で、通信販売に関する相談が最も多く38%だそうです。
ところで、弁当を買う、服をクリーニングに出す、ネットショッピングをする等々は、全て契約の下に行われ法的な責任を伴う約束で、売り買いの両者は簡単に止めれないものです。それが逆にトラブルの元になっています。たとえば、暮らしのレスキュウサービス(例:トイレ修理での思わぬ高額請求ケース)、インターネット通販(例:半額になった商品をネットで買うが届かないケース)などいろいろありますね。
契約は、契約書面を受け取ってから一定期間(訪問販売などは8日間、マルチ商法などは20日間)の間はクーリングオフ出来ますので、問題がある場合はクーリングオフを実施し、その際は必ず文書でやり取りをして記録を残しましょう。なお、クーリングオフの書き方の講義の中で実習をしましたが、思い出して下さいネ。
しかし、クーリングオフができるか否かは結構難しく、その辺りをクイズ形式の◯×で問い掛けて頂きましたが、消費生活センターに相談した方が良いと思いました。
ところで、消費者被害は、家族に怒られるや騙された私が悪いなどと考えて人に相談しづらいが、放置すると被害救済ができなく、悪質業者を市場に野放しになります。
契約のトラブルに会ったときは直ぐに、消費者ホットライン『188』(い・や・や、泣き寝入り)に局番なしで電話をして相談して下さい。
なお、トラブルに遭わないための次の5ヶ条を頭に入れておきましょう。
1断る時には、きっぱり・はっきりと!
2個人情報を教えない … 運転免許証、マイナンバーのコピーも渡さない
3うまい話はまず疑う
4契約前に周囲の人やセンターンに相談
5だまされても、あきらめない
2024年4月12日(午後)
「 未来へつなぐ命のバトン 」
日本看取士会、看取ステーション滋賀「たんぽぽ」所長 西河 美智子 様
今から「看取り」についての講義を、『看取りステーション「たんぽぽ」滋賀』の所長・西河さんからお聞きしました。
西河さんは、看取士のパイオニアの柴田文子さんがある女性が老人ホームに入ったけど死期を迎え老人ホームを出て行かねばならない人を送るのを見て看取りを始めた、という話しを聞きこの道に入ったそうです。
西河さんが看護師だった時、病院に入院しても「3ヶ月ルール」という制度(急性期を過ぎた人が3ヶ月を超す入院に対し医療報酬が極端に減る)の関係で、退院を迫られるが退院できない人が多く、病院で看取った約90名の命の儚さを感じられたそうです。
看取りの場所について、1950年ではほとんどが自宅で看取ったが、1980年に入ると病院での看取りが増えて、今はほとんどが病院だそうです。従って、どうやって自宅で看取ってよいか忘れてしまっているとのことですが、全く同感です。
どのように看取られたいかに対し、滋賀県民は約4割が自宅での看取りを望んでいるが、家族の負担を気にして本当のことを話せていないとのことでした。
(参考)滋賀県の2016年の看取りの場所…病院が75.8%、自宅が14.1%
ところで、1997年の神戸連続児童殺傷事件の少年は、母親からの愛情不足を埋めて世話を焼き愛情を注いだ祖母の死を、祖父から死ぬ3日前に教えてもらったようだが、きちんと早くから家族で看取りと命の尊さについて教わっていれば事件に至らなかったのではと、看取りの大切さを訴えられていました。
18年前に開所された看取りステーションでの実話の『命のバトンを受け取って』のビデオを流されて、看取りは命のバトンリレーなのだと大いに実感させるビデオでした。
看取りとは命に向き合い人生の最後を見守ることで、西河さん行われている看取り士の仕事は本人の願いを叶えたい、自宅で安心して暮らしたい等々の希望を持つ病人や老人に寄り添って看護を実践しているとのこと。
そして、自宅、病院、施設どこでも、また一人でも家族一緒でも元気な時から相談が可能で、看取り士だけでなくエンゼルケアチーム、お医者さん等々の地域の皆さんと、優しい見守りを行い、安心して自由な暮らしを続けることができるように活動をしているとのことです。
(参考)エンゼルケア:死後に行う処置、保清、エンゼルメイクなどの全ての死後ケアのこと
なお、滋賀県内に看取り士70名、8か所の看取りステーションを設け、見守りの時期には無償のボランティア「エンゼルチーム」を提供され(利用時間の制限あり)、看取りの前後(生前から葬儀や納骨までも)には看取り士による有料の支えを行っているとのことでした。
西河さんのお仕事は、本当にこれから必要でお世話にならねばならないような活動だと思いました。
2024年5月17日(午後)
「 冨田人形浄瑠璃鑑賞 」 ≪長浜文化芸術会館にて≫
冨田人形共遊団 様
5月17日(金)の13時30分より、長浜文化芸術会館の大ホールにて「冨田人形浄瑠璃」を初めて鑑賞させて頂きました。草津校と彦根校の44期と45期の全校生徒が貸し切りの中で鑑賞しました。
冨田人形は、長浜市北冨田に伝わる百数十年の伝統を誇る人形浄瑠璃です。江戸時代(1835年)、巡業に来た阿波の人形芝居の一座が、北冨田で雪のために興行ができず、帰りの旅費を得るために道具一式を置いて帰ったのが始まりだそうです。
先ずは、冨田人形浄瑠璃の人形を動かす仕組を教わりました。
一体の人形を3人の人形遣いが操るのですが、人形の首と右手を動かす人、人形の左手を動かす人、人形の足を動かす人と役割が決められていて、3人が呼吸を合わせて人形を動かし、笑ったり泣いたりといった人間にある様々な感情を表現するそうです。一番大変なのは最後の足を動かす人で、ずーっと中腰なのでシンドイとか。
次に、二つの演目を鑑賞させて頂きました。
・式三番叟(しきさんばそう)
… 悪霊を鎮め、国土安泰・天下泰平・五穀豊穣を祈願するもので、正月や寺院・神社の祭礼の場や舞台の「こけら落とし」等で最初に演じられる演目とのこと。
・傾城阿波の鳴門(けいせいあわのなると)
<客席に下りて人形の構造を披露> <舞台前で人形の動きや着物を披露>
人形浄瑠璃の保存と継承が長浜で脈々と受け継がれていることにビックリするとともに、担っている方々は様々な仕事を持っていながら練習し実演しているとのこと、とても素晴らしいと思いました。
そして、今回は長浜文化芸術会館でしたが、平成3年に完成した「冨田人形会館」(見学は要予約)での人形浄瑠璃の舞台や、保管されている人形や芝居道具を見させて頂きたいと思いました。
2024年5月31日(午前)
「 くらしとお金を考える ~人生100年時代 お金を上手に使うために~ 」
ファイナンシャルプランナー/社会保険労務士/1級DCプランナー
小野 みゆき 様
さてこれからの講義は、いつエンディングを迎えるか分からない高齢者には大切だけど難しい(もう手遅れ?)話しでした。
前半の第一部は、「お金を上手に使うためには」というテーマでした。
退職し年金暮らしの人の収入は、年金平均額が207,066円(R3年度)そうで、これでは生活ができないですね。サラリーマン時代が高給取りの人は生活レベルを落とせない、厚生年金の受給者は生活保護を受けれないと、悩ましい状況になりますね。
一方、支出は、社会保険料の健康保険料と介護保険料が、前年の収入に対し一定の負担が求められ一生払い続けなければならないのです。
家計支出は230,517円(65歳以上2人以上の無職世帯、2020年総務省)なので、安穏と老後を楽しむのはなかなか難しいですね。
そして、上手にお金を使う話として、最後のお金=遺産をどうするのか、「残すのか、残さない?」を考えておくことも重要だと。
残すにしても、いつ、誰に、どのように伝えるかが大切だと。
・いつ … 生前の贈与・寄付か、死後の相続・遺贈か
・誰に … 法定相続人に贈与(生前)か相続(死後)、または特定の誰かに寄付(生前)か遺贈(死後)か
・死後の場合 …必ず「遺言状」を残す。知らない人が相続人として出てくるケースが多いので。
なお、遺言状は、見られるのが嫌であれば法務局が管理する「自筆証書遺言書保管制度」を利用し、そこには葬儀や3回忌などお金のかかる祭己の記載もした方が良い。
ところで、遺産を残す・残さないのいずれにしても、これから先にどれくらいお金が必要か知るために、家計簿とキャッシュフロー表を付けた方が良いとのアドバイスがありました。
キャッシュフロー表からは、将来かかる費用がリアルに分かる、資産運用による将来の貯蓄の変化が分かる、などの役に立つそうです。なお、キャッシュフロー表は、FP協会のホームページから無料でダウンロードができるそうです。
第二部は、「後継世代にも伝えて欲しいNISAとiDeCoの正しい知識」でした。
NISAとiDeCoは投資信託に投資し、NISAは個別商品にも投資できるものです。
なお、投資信託とは、複数の投資家からお金を集め、それを複数の株式や債券に、プロが投資・運用を任せるモノです。一方で、個別商品は、ソニーなどの株を自身で選択し運用するモノです。いわばレストランで注文する時に言い換えると、前者の投資信託が幕ノ内での注文で、後者の個別商品が単品料理で注文することです。
従って、投資信託は投資先を分散しているので収益のブレ幅(リスク)が比較的小さく得られる収益(リターン)も小さいのに対し、個別商品はリスクが大きくリターンも大きい特性があります。
このようなNISAとiDeCoの共通点と違いは、
<共通点>
・配当(株式)・分配金(投資信託)・売却益に対し、税金がかからない(通常は20.315%)。
<違い>
・NISA … いつでも現金化できる
・DeCo … 掛金の額に対し、その年の所得税、翌年の住民税が減税される
60歳(65歳)までしか拠出できず、60歳以降しか現金化できない。 など
なお、法律は変わるので、いつまでも続くとは限らない。特に、税金の控除額などは絶対に変わるので注意して下さいを警告された。
2024年6月14日(午後)
「 高齢期をもっと豊かな時期にするために Ⅱ 」
滋賀大学教育学部 教授 神部 純一 先生
1.はじめに
現在、高齢化率は29.1%で、平均寿命は男性81歳、女性は87歳となり、長くなった高齢期をいかに自立しつつ、豊かに過ごすかが大切になってきたとの話から講演が始まった。
昔の高齢者は長生きすることが夢だったが、今の高齢者はいろんな場面で活躍することが必要で求められるようになり、豊かに生きるために「生涯学習」が鍵となっている。
2.エイジングと生涯学習
年を取ることに対し、若い頃の自分に戻りたい、年を取りたくないとネガティブに捉え、過去の自分にすがろうとするアンチ・エイジングに陥って行くのだそうです。
ところで、エイジングについて、15世紀初めの能の世阿弥が『風姿花伝』にて「時分の花」と「真の花」と「初心忘るべからず」という言葉の中で、考え方を書いているのでした。
時分の花は年齢に相応するもので、その年齢を過ぎてしまえば失われるが、真の花は年齢が進んでも失われるものではない。それゆえ、生涯の役者として花を感じさせるには、常にきちんと演技力を身につけておくことが大事なのだと。そのために、若い時、年を重ねるまでの時、そして老後に至っても、いつも自分の未熟さを忘れないことが大事だと、エイジングに対する心構えを書かれているのでした。
ところで、このエイジングの捉え方にはいろいろあり、エイジングとは生まれてから死ぬまで続く「身体的」「社会的」「心理的過程」を含んだ人間の成長のプロセスで、そこには常に「獲得」と「損失」を伴い、高齢期は獲得と損失がより激しい時期だと定義している。
なお、獲得の可能性を広げるのは「教育」の力であり、高齢期においても学びの時期であり学びを通して豊かにできると。レイカディア大学の学びは正にそれですね。
3.学習成果を活かす -社会参加のススメ-
生涯学習と称して国や地方自治体が様々な学びの機会を設けているが、そもそも人生の最終ステージになると、心身の機能の衰退、人間関係の先細り、やりがいを失いがちと後ろ向きになりがちです。
しかし、社会参加を行って自らの知識や技能が必要とされ役立っているという実感が持てると、高齢者の有用感や生きがい感を高めることになり、社会参加活動をしている人の6割近くが生きがいを十分感じ、行っていない人の4割強に比べ差が見られるとのことです。
そして、健康との関係も、知人・友人の多い人や老人クラブに積極的に参加する人は生活体力の加齢に伴う低下が少ないそうです。
4.フレイルの予防と社会参加
フレイルの予防には、①栄養(食・口腔機能)、②身体活動(運動、社会活動)、③社会参加(就労、余暇活動、ボランティアなど)と人のつながり、の3つの柱があり、3つとも全てを継続的かつ包括的に日常生活に取り入れることが大切とのことでした。
なお、年を取り社会とのつながりを失うことが最初の入り口となり、生活範囲が狭まり、こころの健康、口腔機能、栄養状態、身体機能の低下と、ドミノ倒しのように進行、重症化していく「フレイル・ドミノ」にならないようにしていくことが大切だと教わりました。
5.社会参加は仲間作りから
ところで、社会参加をしなくてはと思っても、なかなか難しいですね。特に男性は地縁が弱いので、その切っ掛けが難しいです。これに対しては、学習活動が絆を作る切っ掛けとしては有効で、共通のことを学ぶことで親密になり理解し合う仲間が作れます。
この人と人の関係性そのものを資本だとする考え方を「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」と言うそうですが、大都会の人の繋がりが希薄な社会と田舎の密な繋がりを比較するとどちらが資本力があるのか面白いですね。
6.終わりに ―生涯現役を目指して―
高齢者に対して、「社会の依存者」=お荷物ではなく、「生産的な存在」=役に立つ存在とみなそうとする「プロダクティブ・エイジング」という考え方になっているそうです。
今日の講義により、まだまだ高齢者は生産的なモノを作り出せるし、豊かな街や地域を作れる存在であり、共生社会を作っていくためにもっと活動をして、健康で人生を楽しく生き生きと送る方法を学びました。
2024年6月21日(午前)
「 面白がって生きるコツ 」
児童文学作家 今関 信子 先生
今関さんがロンドンに住む機会があった時、出版社の人がクリスムーンさんを訪ねてみてはどうかと提案してくれたのでした。クリスムーンさんは1995年の地雷除去中に右手右足を無くした人で、1998年の長野オリンピックの時に聖火を持って走られたのでした。彼は手足を無くしたことをグジグジ言っても仕方ない、自分の力をこれしかないと決めつけないで持っている力を目いっぱい出して切り開いてと頑張るんだと言われてました。
そして、クリスムーンさんは、日本の子供たちに「君の人生は、君に期待している」ので、本をよく読んで本に書かれている人生を学んで欲しいと伝えてと言われました。
ところで、今関さんは児童文学作家であり、作品を書く際のタイトルは重要だと。それによって本屋で手を伸ばしてもらえるか否か決まる。そういう意味では、最近の滋賀はいろいろとタイトルに使われて全国的になっており良いですねと。面白いタイトルをつけることが大切で、人生もこれから調味料をつけて、面白く可笑しくすべきであると。
今関さんの母は、思いがけず孤児になり、親戚を回って家事を手伝って育ったそうです。そこでは勉強したいのに出来ないので、トイレにこもって字を学んだとか。そして、ボロは着てても心は錦の心境で良く働かれたとか。このような母の遺伝を引継ぎ、ご自身も良く働かれるそうです。
今関さんは児童文学作家となっているが、“暮らしを生きる人”と言うネーミングが相応しいと言われた。元々、子供が読む本を書いていたのではなく、書くことが好きだったので、広告の裏に文書を書いていたら、偶然に出版社の人に見られ本になったそうです。好きなことを無理しないですることが長続きする秘訣なので、是非好きなことを見つけてと言われました。
1997年1月2日にロシアのタンカーが島根県沖で、大しけのため転覆し真っ二つに折れ、船首部分が強い風にあおられ福井の三国町沖まで流され座礁した。船体からは重油6000㎘が流れ出し、福井・石川両県など9府県の沿岸に重油が広がり、海岸沿いにある越前松島水族館の母と子の2頭がいるカマイルカのプールにも黒い重油や油の塊が浮き始めたのでした。カマイルカは油を体内に取り込めば内臓を傷つけ目に入れば炎症を起こす恐れがあるのでした。そこで、どこかに退避させる必要がでたので行き場を探した結果、のとじま水族館が受け入れてくれるという話になり行くことになったが、移送する日には日本中からボランティアの人たちが集まってくれて手助けをしてくれたのでした。戻る時も、大勢のボランティアの人が集まり手伝って頂いたのでした。
この石油流出事故で水族館のカマイルカを守る職員やボランティアの人々の連日の奮闘を描いた実話を、今関さんは「イルカをおそった黒い波 重油流出事故とボランティア」として出版されました。
日頃、天を仰いでいた宇宙研究者が、突然足が動かなくなり空を見上げられなくなったが、下を見ていたら苔の面白さに気づき苔の研究を始めた人がいたそうです。
また、ALS(筋萎縮性側索硬化症)になった作家が、膝でパソコンの画面を動かしていたが、それもできなくなったので今度は目であいうえおの表で拾い作家を続けたそうです。
このように私たちの周りには面白いことだらけなので、逆境に陥っても諦めずに自分を奮い立たせ、自分が面白いと思うモノを追いかけて欲しいと今関さんは言われました。また、大いに自分を褒めて、自分は出来るんだとうぬぼれることも大切で、残念なことは忘れることも重要と。
今関さんの二つの作品のご紹介をうけた。
一つ目が、滋賀県の民話を元にした「紙芝居 りゅうになったおむこさん」でした。蛇からの強要で3人娘の末娘と結婚したが、7日に一度雨を降らせるために天に昇るが、その際に箱を預け開けてはいけないと伝える。しかし、姉たちが箱を見つけ開けてしまい、池の神だった蛇は戻れなくなるが、年に一度の七夕に人間になれるので軒先に短冊を付けた笹を飾るように懇願されたことより、滋賀では七夕飾りをするようになったと言う話でした。
二つ目は、ニューヨークの燃えさかるビルから子猫たちを助け出すために命がけで火の中に飛び込むお母さん猫の実話の物語「ねこのおかあさん」でした。
この二つの作品のように、面白く素敵で輝いている民話なり実話の話を“盛る”あるいは“デフォルメ”して作品を作ることも良いのではと思っていますと。
日米親善を目的とする民間外交に尽力したシドニー・ギューニックは、戦前に日本の雛人形に注目して雛祭りの日に合わせて1万2千体余りの人形(友情人形=「青い目の人形」)を日本に寄贈し、滋賀には135体が来てくじ引きで公平に配られた。しかし、第二次戦争の折、敵国の人形とだということで多くが処分されたが、4体だけ学校の腰板の中に隠されて残った。そのような話を伝えたいと思い書いていたら、他の小学校にも残っていた。
目下、その話を書いているところですと言われた。そして、「働き者でしょう!」と笑顔で言い放たれました。
2024年6月21日(午後)
「 心の治癒力を引き出す 」
彦根市立病院 緩和ケア内科部長 黒丸 尊治 様
今日の昼からは、心療内科に長く従事されていた彦根市立病院の先生のお話でした。
先生は、元々医者嫌いで、そして薬が嫌い。西洋医学は体ばかり診て本来一体のはずの心を診ないで、どうでもよい薬がいっぱいあることに疑問を。そもそも、人間には自己治癒力があるので、だから先生は最小限の薬しか出さないとのこと。
では、どうやって治療していくのかに対し、本来その人の持っている治療力で何とかなり、コミュニケーションを通して治療するとのことでした。
だから、普通の医者とは違うと思われているそうです。
病は気から、心の持ち方だと言われるが、前向きな気持ち、感謝の気持ちだと言われてもどうしていいのか分からないし、そういうことを言ってはダメと。逆に、感謝なんかしなくていいんだよと言って、気持ちを楽に前向きにしてあげることが必要だと。
心の治癒力とは、悩みや苦しみを自分で乗りこえる力であるが、自分の気持ちを上手に発揮出来る人と出来ない人がいる。誰もが、幸せになりたい、楽になりたいと思うが、しかしどうやったら出来るのか知らない人が多い。また、例えば前向き、明るい気持ちになれないクヨクヨする人にクヨクヨするなと言ってはダメ。その気にさせる会話や無意識にそうなるようにさせることが重要だと。
心の治癒力には、プラシーボ(偽薬)が一番重要で、医療ではなくてはならない存在となっているそうです。例えば、不眠の人に睡眠薬ハルシオンを出すが、依存性があるので、懇願された際に「特別に新薬を3袋を出しますね」と言って渡すと、翌日よく眠れたと報告があったが、実はでんぷん粉だった。このように、時々プラシーボを使うことがあるが、問題がなく効果がみられることがあるそうです。
(※)プラシーボ…治療手段として、本物の治療のように見せて実質上の治療の機序が含まれないものを指し、「薬」に限定されない。例えば、プラセボ手術がある。
癌の自然治癒力に興味があったので、先生は心療内科を選んだそうです。
末期癌が消えるってあるかと思われるかもしれませんが、3千人の末期癌患者を診た中に数十人がなんでこうなったのか分からない癌が消えたり小さくなったりする人がいたそうです。
この癌の例のように、体には治癒力があり、悩みや問題を乗り越える力もあるが、そこに影響するのは患者と医者の人間関係だと思うとのことでした。この考えのもと、先生は治療できる癌は治療するとのことでした。
治療が出来なくなった末期癌の患者は、抗癌剤でヘロヘロになることを選ぶか、そのまま治療せず死を待つのか、を本人が選択できます。その選択結果は、ケースバイケースでどちらが良いとは言えないが、今の医療は末期癌を治療する事は抗癌剤を使うというになるそうです。
この時、抗癌剤が有効なのは20~30%だと言われているが、この数字は癌が直る値ではないのに独り歩きしているそうで、癌は直ぐに元の状態に戻ってしまうとのこと(数値は癌が半分以下になる状況が1ヶ月以継続する確率だそうです)。
このような抗癌剤を用いる治療はしていないため、緩和に来られる患者さんには何もしてくれない医者だと思われているが、苦痛症状を取り除く治療はされているとのことです。逆に、ここではお酒が飲め、煙草を吸えるため、ビールや焼酎を沢山持ち込んで来られ、医院長、看護婦さん、お母さんが参加して楽しんもらっており、緩和治療は自由にやっておられるとのことです。
癌に対するイメージは怖い暗い嫌な病気のイメージを持つが、“ガン(癌)”を“ポン”と言った方が心理的に良いので代えたいと。肝臓ポンとか胃ポンとうれしそうに言葉にされてました。 確かに恐怖感は薄れますね!
幸せを求め、嬉しい楽しいことをすることが心を活性化し、それが治癒力につながるのだと。
そして、年を取ったら、人との関わりで煩わしいことはヤメ、量より質を求めるべきだと。
また、年を取ったら女房の悪口を言ってはいけませんよと。これは、愛情ではなく生きる知恵ですよと。
2024年6月28日(午後)
「 備えと構えで減災目指す 」
たかしま災害支援ボランティアネットワーク「なまず」代表 太田 直子 様
授業はクイズから始まりました。
第一問「震災が起こったら一番最初にすることは何か」
① 扉を開ける ② 身を守る ③ 火を消す
正解は②だけど、③と答えた方が多かった。③は阪神・淡路大震災までの正解だったが、その後は②になったのでした。ところで、逃げる場所は、机の下ではなく、案外構造的に強い玄関や両方が壁の廊下が安全だそうです。
第二問「地震による死因の一番は何か」
① 圧死 ② 溺死 ③ 焼死
阪神淡路大震災では①の圧死が一番で88%でした。家の老朽化や住人の高齢化で寝ている部屋が危なく、所で何も置かないようにした方が良いとのこと。
第三問「タンスをどこに置いたら、倒れ易いか」
① たたみ ② カーペット ③ 床
答えは②ですが、大学での実験では下が硬ければ硬いほど倒れやすいとのこと。
第四問「災害時に死ぬまでのタイムリミットは?」
① 約1日 ② 約3日 ③ 約1週間
答えは②です。ご飯を食べなくても1週間は生きれるが、水が無いとダメです。
なお、助けてーと叫ぶと体の水分が抜けて行くので良くないそうで、叫ぶより足で壁などを蹴る方が良いとのことです。
第五問「生き残った後、水や食べ物の備蓄はどれくらいの期間をしたら良いか」
① 3日間 ② 1週間 ③ 1ヶ月
今までは①だった。阪神淡路大震災の時は被害のエリアが狭く近隣の大阪などから運べたが、東日本大震災はエリアが広く道路が被災し寄り付けなかった。今後、東海・南海トラフでの震災が発生したら、東京から大阪まで広く甚大な被害が予想されるため、滋賀も大丈夫と言うわけにいかず、食べ物など多くのモノが震災地域から運ばれているためその影響は計り知れないので、長期の備蓄が必要だと言われました。
ところで、朽木のおばちゃんは米と味噌があれば生きていけるわと聞かされたそうですが、それは我々には無理なので、食べ物などをローリングストックすることを奨められました。
(参考)ローリングストック…普段から少し多めに食材、加工品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料を家に備蓄しておく方法
第六問「大人が1日にするトイレの回数は何回か」
① 3回 ② 5回 ③ 7回
だいたい大人は1日に②の5回で、そのうち大が1回。食べなくてもトイレは我慢できないし、してはいけない。トイレ問題はだんだん難しくなっていて、これからは自分でトイレを確保する必要がでて来た。
携帯用トイレを用意した方は、尿取りパットもあった方が良いと言われた。
第七問「地震の後の関連死で一番多いのは何か」
① 脳卒中・心筋梗塞 ② 既往症の悪化 ③ 肺炎や気管支炎
②が多いと思われるかもしれないが、③が多い。口の中の菌が発生することによって、誤嚥性肺炎になりやすいので。震災の避難などで抵抗力が弱くなったことに加えて、口の中の菌が繁殖する。特に老人がなりやすい。ペーパー歯磨きや歯磨きガムが良く、小さな口ゆすぎがあると、口の中をきれいにできる。
第八問「地名のうち、被害が大きく受けるのはどこか」
① 松田 ② 竹田 ③ 梅田
答えは③で、人口的な埋め立て地であって、字を変える(埋め⇒梅)ことによって、元の状況を消している。○○ヶ丘や□□タウンなどは危険地名が隠れていることがあり、昔からあるバス停の名前も危険な場所の名前を残しているところがあるので改めて見ると面白いですよと。
防災活動は、楽しいことを組み込んで、いっぱいの人を集めて行うことが大切だと。そのためには「楽しい、面白い、タダ、おいしい、なんかもらえる」の5つがあると行きたくなり人が集まる
防災、防災と堅苦しいことから入らず、防災倉庫をバーベキュー倉庫と言って作る方が良い。防災とは言わずに防災活動を進めるのが良いのである。
また婦人会や子供会など地域のグループがなくなっているがこれらの存続が大切で、防災のための活動ではないがコミュニケーションが生まれ顔の繋がりが防災に繋がるとのこと。
休憩後には、新聞紙を使って避難所グッズとしてのスリッパとヘルメット(防寒帽)を、ワイワイガヤガヤと騒ぎながら作りました。これは子供たちに教えたいですね。
次の講演は、防災意識を数え歌で高めようということで、十人のインデアンのメロディーで「なまずの減災パロディ」の歌を皆で歌いました。
「日頃の~」「地震に~」「身近な防災~」・・・「自分を守るため~」エィー、エィー
来るべき大地震をはじめとするさまざまな災害時に向けて『備えと構えで減災目指す』、『いざという時 自助・共助』をモットーに頑張られておられるようですが、事前の備えで自分と家族、そして地域を守ることは大切だと痛感しました。
2024年7月5日(午前)
「 平和を祈り描き続けた画家・平山郁夫 」
佐川美術館 学芸員 藤井 康憲 様
今日は、守山市の琵琶湖湖畔の佐川美術館で学芸員をされている講師によって、同美術館の常設展の画家・平山郁夫(約330点を同美術館は所蔵)のお話です。
ところで、「日本画」という名称は、明治以降に西洋から入ってきた絵画と区別するために付けられた名称で、それ以前は狩野派や大和絵などと各流派の名称で呼ばれていたそうです。そして、日本画は、絹や紙に毛筆で主として岩絵具(顔料)で描くものに対して言うそうです。
なお、日本画の名づけにはフェノロサや岡倉天心などがかかわっていたとのこと。また、平山画伯は、伝統的な画材を使って描かれたそうです。
平山画伯の魅力である深みのある群青色は「平山ブルー」と呼ばれているが、これは故郷の生口島(平山郁夫美術館があります)の海の青が深くかかわっているとのこと。そして、使用する絵具など画材には妥協を許さず、また仏教画などの古典研究により色彩感覚が養われたそうです。
ところで、平山画伯は中学三年生の頃、軍需工場で勤労動員として従事していた際に被爆し、白血病にかかり悩まされたそうです。中学生の時、東京美術学校の教授をしていた伯父に勧められて受験し入学したそうです。なお、この時、伯父から以下の薫陶を受け、生涯それを守ったのでした。
① 日本の古典、東洋の古典の勉強を怠らないこと
② 人間としてしっかりした基礎を身につけること
③ 安い道具は使わない
④ 10年は絵で稼ごうとは思ってはいけない
受験の際に伯父の考えのもとに技術的な勉強をしなかったため、同級生が上手かったので退学も考えたとか。
また、妻も画家であったが、仲人の前田青邨から二人が画家では食えないという助言を受けてあっさりと筆を折ったのでした。
戦後の日本画は、時代に逆行した存在とみられ「第二芸術」(現実世界とかけ離れた前近代的な芸術)と批判され、平山画伯は将来性を見いだせずにいたが、東大寺法華堂に安置された天平の仏教芸術を見て、世界観が変わるほどの感動を覚え画家としての方向性を確信したそうです。
日本文化の源流を求めてシルクロードを度々訪れたが、この地が仏教伝来の源流だったと考えられたそうです。
それらの結果、焼失した法隆寺金堂壁画の復元や、シルクロードを題材にした「楼蘭の夕」などを沢山残されている。
ところで、平山画伯が被爆した原爆をモチーフにした「広島生変図」とサラエボの戦場で会った子供たちの未来を祈った「平和の祈り―サラエボ戦跡」は、平和をテーマに描かれたが、悲惨な戦争の体験を描くことに大きな抵抗があったとか。
休憩後は、平山画伯がこだわった日本画の画材や描法についてのお話でした。
特徴的な「平山ブルー」は、画一面に薄く群青を塗りそれを段々と濃いモノを重ね塗りし、1回で10回ほど塗り重ね青を追及しているとのことです。
また、平山画伯は、粒子の粗い濃い群青を用い、和紙を立てかけて描いていたので接着力が強い鹿ニカワを多用していたそうです。紙も何度も重ね塗りをするので丈夫な和紙を求め、越前和紙の材料に麻を加えて漉いた「雲肌麻紙」を用いたそうです。
平山画伯は絵を描くことだけでなく文化遺産の保護活動に情熱を注ぎ、世界各地を旅する中、戦争や盗難・盗掘、自然荒廃による文化財の消失を目の当りにして「文化財赤十字」構想を提唱し、文化財の保護だけでなく、その国の文化を守ることで、民族の誇り、ひいては人々の心を守る平和の願いを持たれ活動をされてました。
最後に藤井講師は、自らが作られた平山画伯に関する謎解きクイズのページで、今日説明頂いたポイントを改めて私たちに問われましたが、私はサボっていたためか半分しか答えられませんでした。
しかし、是非、皆さん、今日の講演で得た知識を活かすべく佐川美術館と生口島の平山郁夫美術館を訪れて見て下さい。
2024年7月5日(午後)
「 『源氏物語』と紫式部と近江 」
近江の文学研究家 いかい ゆり子 先生
源氏物語はほとんどの人が読んだことないのですが(と思いますが)、目下NHKの大河ドラマ「光る君へ」で源氏物語が放映されて好評を博しているようです。
その物語は、平安時代の中期(1005~1006年)に書かれた世界最古の長編小説ですね。ちなみに、シェイクスピアのハムレット(1601年)やロミオとジュリエット(1595年前後)よりかなり古いのです。
紫式部および源氏物語に関した概要は以下の通り。
・作者は紫式部で、藤原為時の娘。生没年は不明(諸説あり970/978~1014/1031年)。
・名前の紫式部は、父が式部省(現在の文科省に相当)の役人だったことから付けられた宮中での呼び名。当初は藤原氏の出身だったので「藤(とう)式部」と呼ばれていたが、「紫」に変わったのは諸説あり。
・一条天皇の中宮・藤原彰子に仕え、平安時代には晩婚の20代半ば過ぎに結婚するが結婚3年で夫と死別。その現実を忘れるため源氏物語を書いたともいわれる。
・源氏物語は、光源氏の誕生から70年余りの時間の流れを描いている
・登場人物は約480人で、メインの人物は約50人
・書かれた文字は100万字で原稿用紙2400枚。和歌が795首書かれている
・原本は現存せず、「藤原定家自筆本」が現存する最古の写本
・54帖から成り立ち、各帖はそれぞれで完結。その集合体として長編小説になっている
・各帖のタイトルは付けられているが、物語全体を最初から源氏物語と名付けられておらず、写本での引用では「源氏の物語」「紫の物語」などと書かれている。源氏物語との題名は後から名付けたものである。
・1帖ないし数帖ずつ書いて公表したらしいが、執筆の順番など不明
・54帖は3部構成
第1部[第1~33帖]…光源氏の華麗な生活を描く(光源氏誕生~39歳)
第2部[第34~41帖]…優雅な生活に忍び寄る影(光源氏39~52歳)
41帖「雲隠」はタイトルのみで、本文は書かれていなく光源氏の死を示唆(と解釈されている)
第3部[第42~54帖]は光源氏没後の子孫達の恋と人生を描いている。
・平安時代の宮廷での恋愛模様、男達が争う政治の駆け引き、同族同士の出世争い、権謀述策渦巻く中の友情と闘争、上司と部下の信頼をドラマ化した物語
・時代設定は60代醍醐天皇(在位897~930年)の頃との説
ところで、源氏物語は世界の三大古典と言われ、世界中で多くの言語で翻訳され、英訳は4回もされており、またメトロポリタン美術館などで展覧会が開催されたそうです。すごいですね。
さて、紫式部は京都の宮中に仕え住まわれていたが、近江にはいろいろとゆかりがあり、講師は紫式部の関連地10ヶ所と源氏物語ゆかりの地2ヶ所の話をされた。
紫式部の関連した場所としては、石山寺とその周辺が多いが、打出浜、坂本の慈眼堂、高島市の白鬚神社、長浜市の塩津北口バス停、近江八幡市の百々神社、野洲市のあやめ浜の10ヶ所だった。
次に源氏物語のゆかりの地として、光源氏のモデルかとされる源融ゆかりの大津市伊香立の融神社、物語で多く登場する比叡山延暦寺横川の2ヶ所でした。
本や漫画など問わずに源氏物語を読んだことがあるかとのアンケート(2023年11月実施、全国の20~60歳女性500人)によれば、読んだことがある人が44.6%、読みたいと思うかに対して読みたい(どちらかというと読みたい)が30.7%、と関心が低いように思えるが、今日の講義を聞いて読んでみたいと思いました。まずは漫画で読んでみようかな。
2024年7月12日(午前)
「 自分史書く試みから本へ 」
大垣書店 相談役出版部長 平野 篤 先生
大垣書店に勤められていた講師は、現在、自費出版のお手伝いを主になされており、私たちに自分史を書くことを推奨するお話を聞きました。
自分史を本にするということは、自分の棚卸として切であり、それは単なる自分の年表ではなく出来事を言葉で繋いで自分を再発見することだと。
「自分史って何ですか?」との答えとして、4つのことを上げられました。
a.【事実の整理】過ごしてきた人生について
… 未来を考えるために、現在の自分の成長から成熟までの棚卸をして、これからの老化から老衰に向かう際の今後の自分の在り方を考える
b.【評価の世界】自分と言う人間を理解する
… 自分ってどんな人物だったんだろうと、昔と今の違いを振り返り、変化した考え方、態度、感じ方を見つめる。自分の再発見になるが、それは明日の為であり、新しい自分の挑戦、大事なモノを中心にした生活スタイルへの変化を生むために
c.【伝える】誰に向けて書くのか
… とにもかくにも、明日の自分自身のために書くことが第一義。書くこと=考えていることを言語化することで、自分との対話である。家族に向けての場合、家族といえどもそれぞれ生き方、考え方が違い、自らの生き方を書き伝えることは意味があることだ。
d.【事例研究】
… 沢山の自分史を印刷し、友人知人の不特定多数に配布された方は、仕事に関する量は多いが、プライベートのことは少なく、奥さんのことはほとんどないとのこと。このような自分史は面白くないと、平野講師は単刀直入に言っているそうです。一方、旅行記は深い関心をもって書いてあるので面白いものが多く、店頭に並べ多く売ったそうです。
次に、「どう書き進めるか」については、次の4つを上げられました。
a.自分史年表を作成する(最初は経歴書作成のつもりで)
1. 年表のスタート
2. 大まかな区分
3. 年表の項目
4. 資料取集、記憶の整理を手助けする材料
b.書き始める
1. 書きたい項目から、全体との関係性を無視して書き始める
2. 各項目に一通り文書が書ければ、その項目にタイトルを付ける
3. 全体を通してバランスを考える。その上で章のタイトルを見直す
4. 不足部分の検討をする
5. 写真や図版の挿入も考える
c.内容の推敲と加筆
1. 文字になった記憶が、事実に即しているかどうかチェック
2. 自分以外の他者(家族を含めて)に関する記述は客観的事実を主とし、感じ方考え方は自己の意見として添える配慮をする
d.記述の矛盾など確認
1. 特に時系列が矛盾しないようにチェック
2. 登場人物のお名前には充分な注意をする
ところで、本は、誰でも書かれた内容を読み取れ、読むための道具が不要、人から人へと読み継がれる、時間に耐えれる(例えば770年出版の百万塔羅尼)、と優れた媒体である。
ところで、明治時代の前までは木に活字を掘って刷り上げていた木版印刷だったが、西洋からの活字を組み込み並べた活版での印刷が入って来たが、活版印刷は多くの活字を集める必要があり、一度掘った木版は何度も使えるためなかなか活版印刷には移行しなかったようです。浮世絵などに見られる日本人の繊細さ器用さや、活字ではくずし字の再現が難しかったことも活版印刷に移れなかったかもしれませんね。
最後に、事前にアンケートされた「あなたのお薦めの1冊を教えて下さい」の128件の集計表を元に、いくつか記載者に薦めた理由を聞き、コメントをされました。
いま滋賀県で人気の「成瀬は天下を取りに行く」が数人お薦めされてました。
2024年8月9日(午前)
「 平安人の心で「源氏物語」を読む 」
京都先端科学大学 教授 山本 淳子 先生
今日は、NHKで放映されている「光る君へ」の内容に並行して、源氏物語の桐壷巻と実在の皇后定子と中国の楊貴妃とを比較していくという斬新な切り口で、私たちに紫式部のことをお話して下さいました。
源氏物語が部分的に実話を取り込んでおり、光源氏の両親が一条天皇と中宮定子であるという新説、今から30年前からの説だそうですが、話をして頂きました。
物語の光源氏は、桐壺帝の第一妃の弘徽[こき]殿女御(実家の権力はナンバーワン)に世継ぎができた後に、帝の好みの桐壺更衣(更衣とは身分の1番低い位の妃の名称。家柄は下位)との間で出来た子供だったので、源の名を与えられ臣下に下った皇子でした。
これは、実在である一条天皇の第一妃の中宮彰子(実家の権力はナンバーワン。紫式部が仕えた)と天皇が溺愛した中宮定子(実家は没落。清少納言が仕える)の史実をモデルにして書かれたのではとのことでした。
紫式部は、楊貴妃同様に定子という希代の出来事も誰かが書き留めなければいつかは忘れられ真実は伝わらない、と感じ「源氏物語」の執筆を思い立ったのではないかと山本先生は話されました。
ただし、物語の桐壺と実在の楊貴妃には「愛と死」以外には相違点が多く(宮中でのいじめ、出産、実家の盛衰など)、死去間もない定子を死後の半世紀後に書かれた長恨歌の愛と死の要素を取り込んで書かれたのだと。
中国で楊貴妃という時代の記憶が「長恨歌」となって時代を超えたことを手本として、定子という時代の記憶を人の心に刻み込むため、「源氏物語」の桐壷更衣の物語は作られたと。作者はもちろん、当事者、貴族社会など同時代の「平安びと」の思いがこの物語を生み出したと言えるでしょう、と山本先生は結ばれました。
2024年8月9日(午後)
「 仏教を通して生と死を考える 」
龍谷大学農学部 准教授 打本 弘祐 先生
浄土真宗のお坊さんで、認定臨床宗教師の打本先生からの仏教を通して生と死を考えるお話でした。
先生から最初に、お坊さんがいる病院があることを紹介されました。日本では5病院、京都には2病院もあります。病院はホスピスで終末期の患者さんに対して疾患による痛みや精神的な苦痛を緩和するための施設です。その精神的な苦痛を緩和する役目がお坊さんです。
動物が死への意識があるのかについて、象は死んだ仲間の骨に対して祈りを捧げるように木の枝・葉・土をかぶせ、チンパンジーは遺体を何度も訪問したり手で優しく触れたりするそうで、動物も仲間に対する死を悼む心を持っているそうです。
① 史や死者をどう捉えるか…死や死者に意味、死者は畏怖・慰撫、崇拝・供養の対象
② 死後の世界…有無。死者は「あの世」へ行ったきり?死者と生者の関係性
③ 死者の弔い方…葬儀儀礼や埋葬の方法、喪の文化(供養・法事・墓参)など
④ 弔いの社会性…信仰共同体、民族集団、地域社会、残された生者と死者の関係性
先ず、四苦八苦とは、
・生苦(生まれる苦しみ)
・老苦(老いる苦しみ)
・病苦(病の苦しみ)
・死苦(死ぬ苦しみ)
・愛別離苦(愛する者との別れによる苦しみ)
・怨憎会苦(怨み憎んでいる者に会う苦しみ)
・求不得苦(求める物が思うように得られない苦しみ)
・五蘊盛苦(肉体と精神が思うようにならない苦しみ)
なお、釈尊は一人の人間として、沙羅双樹の木の間で病(食中毒かもとのこと)によって亡くなられ、遺骨(舎利)は福徳があり争奪戦になり8部族に分配され、ストゥーパ(仏塔)に安置されたそうです。
ところで、釈尊は死後の存在や世界について、悟りには無意味な「無記」として答えなかったが、後の仏教では輪廻思想などとの関連から死を説明するようになり、仏教教理上、常に問題になっているようです。
また、現代において、遺体に話しかける遺族、葬儀で生きているかの如き語り掛ける弔問者や弔辞は世界的珍しく、継続する絆の概念があるようだとのことでした。
まとめとして、人間が死ぬことの事実は、生物学的などの科学的な知によって、あるいは仏教の死苦からしても当然のことです。特定宗教を「信じる・信じない」を超えて、日本の多様な地域文化や仏教の中に息づいている「物語の知」を探索していくことは、死生観の空洞化といわれる昨今において、死を見すえながら豊かに生きることにつながるのではないでしょうか、と結ばれました。
2024年8月23日(午前)
「 水と祈りの近江を歩く 」
成安造形大学 副学長 加藤 賢治 先生
この講義は、前半が「水と祈りの近江を歩く」で、後半が「近江の地蔵信仰」の二つのお話でした。
講師の加藤氏が出版された「水と祈りの近江を歩く」の中に書かれているが、滋賀県は日本の縮図だと言われました。丁度本州の分水嶺にあって琵琶湖に向かって水が流れ、山と海があり、宿場町があり、城下町もあり、寺社仏閣も多く、山間には山間の集落があり、街道も港もあり、近江国は池泉回遊式庭園だと。平安時代の歌謡集の「梁塵秘抄」では、近江の湖(琵琶湖)は単なる海ではなく天台薬師の本尊の池で、素晴らしい土地であり極楽浄土だと謳っている。
この近江の比叡山では、北嶺回峰行(比叡山千日回峰行)という最も厳しい修業が行われている。坂本の無動寺を出て、比叡山を北上し横川中堂から南下し日吉大社を経て元に戻るコース(七里半=30キロ)を最初の一年目の百日を踏破し、その後7年間の回峰行でほぼ地球一周の4万キロを祈り歩くのである。
この回峰行の七百日終了から「堂入り」という9日間の断食・断水・不眠・不臥でお経を唱える行を行うが、自分で歩けず死臭が漂うそうです。
このような過酷な修業の比叡山千日回峰行は、江戸時代から51人、戦後は14人の僧が千日回峰行を成し遂げたのでした。
千日回峰を考えたのは相応和尚(そうおうかしょう)で、「悟りを得るためではなく、悟りに近づくために課して頂く」ことを理解するための行として考えたそうです。そして、和尚は、「お釈迦さんは、人の中には仏が宿っている、だから出会った人全部を拝んでいた」と言われたそうですが、気持ち悪がられて石を投げられたとか。
このような千日回峰や棹飛びなど、なぜ厳しい修行を行うのか。それは大自然と人間が融合・一体となること、すなわち草も木も土もみな成仏するもので、人間も草木もみな平等という比叡山の思想(悉皆成仏:しっかいじょうぶつ)を実感するために行うものだと。
ところで、東洋思想は悉皆成仏と言う言葉で言い表わされているように全てが平等、他の物質と共存する社会、スローライフ、持続可能社会に対し、西洋思想は人間中心の社会、人間が物質を支配する社会、大量生産で大量消費、モノ中心の経済社会。野球選手のイチロウがアメリカで日本との違いを聞かれたとき、モノを大切にしない国だと言ったそうだが、西洋と東洋の違いを端的に言った言葉ですね。
ところで、地蔵信仰は、浄土思想が普及した平安時代で藤原摂関家の栄華を中心に宮廷生活がある一方で、無常感やもののあわれに示される不安感が多く、中下級官人の不安定な政治的地位、地方における武士や農民の武力騒動、都での盗賊の横行・放火などがあり、人々の精神に様々な影響を与えた。その様な状況下で、貴族を中心に人々は阿弥陀如来の住む西方極楽浄土への往生を願う厭離穢土(おんりえじょうど)・欣求浄土(ごんぐじょうど)の浄土思想が急速に広まった。
・厭離穢土…汚れた世界を厭い(嫌い)離れるべきこと
・欣求浄土…浄土に生まれることを願い求めること
そのことにより、多くの写経や仏像を造ること、寄進をすることが重要と考えられた。
浄土信仰の普及により、極楽浄土に往生の叶わない衆生は、必ず地獄へ堕ちるものという信仰が強まり、地蔵に対して地獄における責め苦からの救済を欣求するようになった。そして、地蔵さんは一瞬でも拝めば救ってくれると信じたこともあり、宗派を問わず多くの人に親しまれてあちらこちらで祀られたのでした。
そして、町内を見守るお地蔵さんとして引き継がれ、京都や滋賀には多くの地蔵盆が祀られている。この地蔵盆は、地域のコミュニティ活動の一環として、また地域の文化力として、時代の変化に応じた工夫をしながら大切に残していくべき宗教行事である。地域の結びつきが薄れてきている現代こそ、世代を超えて交流できる地蔵盆の役割は大きい。
2024年8月23日(午後)
「 コオーディネーション運動で楽しく体力アップ! 」
児立命館大学スポーツ健康科学部 教授・学生部長 上田 健嗣 先生
「コオーディネーション」(Co-ordination)って初めて聞く言葉でしたので、大変興味深く聞かせてもらいました。。
コオーデイネーションという用語はロシアの生理学者ニコライ・ベルンシュタインが考えた理論で、その理論は人間の動きは脳が支配しているのではなく、関節など関係器官が外部から得た情報をすばやく反応・判断し、それに対して適切にカラダを動かす能力のことだそうです。彼がこれを考え出すに至ったのは、頭に怪我をしても体を動かしていることに気づいたことからだったそうです。
そして、この考え方は、動作制御における自由度の問題として、例えば、人がハンマーを持って釘を打つ時、腕や肘が固定されてない自由度の高い状況下で多少腕・肘などが動いてもキッチリと釘を打ち付けれるが、脳にいちいち判断を求めて動いているのかと言う問題になった。このような動作では、人の体の自由度は1000近くあり、自由度の制御は至難の業で、各器官が互いに協応しあうことで冗長な自由度を克服がなされるというコオーディネーションの考え方に至ったそうです。
このコオーディネーションを動作コオーディネーション理論として体系化され、スポーツ科学に取り入れられたそうです。
ところで、小学生や中学生の頃は筋肉よりも骨が大きくなる時期で、筋トレをすると筋肉が骨の成長を阻害し、身長が伸びないや筋損傷や靭損傷になる可能性がある。
しかし、この動作コオーディネーションを活用した運動は、ゴールデンエイジ(9~12歳頃)の子供が人生の中で運動を習得するのに最も良い時期だと。それは体の中に神経シナプスが最も多い時期であるためだそうです。そのため一輪車乗りは、この時期の子供が早くできるようになるそうです。
ところで、動作コオーディネーションは7つの能力(運動総合能力、分化能力、バランス能力、定位能力、リズム化能力、反応能力、変換能力)で構成され、特にバランス能力、定位能力、リズム化能力が重要だと。
・バランス能力…バランスを正しく保ち、崩れた姿勢を立て直す能力
・定位能力…自分自身と他者との位置関係を正確に把握する能力
・リズム化能力…リズム感を養い、動くタイミングを上手につかむ能力
このようなコオーディネーションのトレーニングを行う際の原則は、トライアンドエラーをさせることが必要で、頭が働かないようなトレーニングはダメとのことでした。
このコオーディネーショントレーニングの実施法には、常に新しい課題に取り込むコントラスト法(例えば、バスケットで普通のボールをテニスボールなどに変えて練習)などがあり、どんな能力を高めたいかで方法を選択するとのことでした。
なお、上田講師は宮崎と京都で子供たちの運動トレーニング教室を開き、コオーディネーショントレーニングを実施されているとのことでした。
次は、実際に動作コオーディネーションの能力を、レイ大学生の二人がステージの前に出て、スカーフキャッチ(投げ上げたスカーフのキャッチ)やバランス運動を行いました。スカーフキャッチは上手くできて、年齢に負けないハツラツとした動きを見せられてました。
高齢者が一番大事な運動機能はバランスを保つことで、片足立ちなど室内でも気軽にできる運動を続けることが大事だと薦められてましたが、運動の重要さを改めて認識しました。