課題学習

食の幸湖路(こころ) メンバー5名

                                                                                                            近江由来の食材調査                                           Back

   滋賀県といえば、近江牛や近江米などに注目が集まりがちですが、古くから地元で愛され大切に受け継がれてきた個性豊かな食材もたくさんあります。
 食生活の変化等に伝統的な食文化の継承が危うくなっています。
 地域の伝統食を守っていくことが、地域の生産者を守っていくことにつながり、その観点から近江由来の食材を取り上げ地産地消を軸とする伝統野菜・特産品の意義を確認し、その生産や流通の過程を調査し、取り巻く環境・問題点を調査することにしました。

生産者訪問

 1.秦荘の山芋 (愛知郡愛荘町)

 訪問した時は初出荷の日でした。生産農家では、既に収穫が終わり出荷準備のためひげ根の処理などをされていました。
他の山芋と比較しても、粘りが強く旨味と風味があると人気ではありますが、種付けから出荷までの期間が長いことや、収穫が機械化できないことなど重労働であることなどから生産農家の高齢化が問題になっていました。

 2.近江かぶら (大津市栗林町)

 近江かぶらは400年の歴史があります。昭和30年以降徐々に品種改良されたかぶらに押され生産量も生産農家も激減しました。
その後産官学が連携して復活に取り組まれ、現在生産農家6軒にまで増えました。
種は大津市によってしっかり管理され、市外には出されていないそうです。

 3.豊浦ねぎ(といらねぎ) (安土町下豊浦)

 江戸時代から本格的に栽培された在来種で、種は代々自家採取されているそうです。
やや細めのネギで繊維は柔らかいがシャキシャキした歯ごたえで糖度が高い美味しいネギではありますが、柔らかいため機械洗浄ができず大量生産には向きません。
生産農家は現在5件だそうです。

 4.守山矢島かぶら (守山市矢島町)

 一度は途絶えた矢島かぶらですが2009年頃から有志によって栽培が始まり、2016年には守山市の「食のプロジェクト」としてJAおうみ富士や商工会館、立命館大学などとともにブランド化に向けて活動が始まりました。そして2017年に滋賀の伝統野菜として認定されました。まだまだ規格通りに作るのは難しいそうです。

 5.多賀人参 多賀町

 伝統野菜ではありません。というのも種は種苗店で販売されているものですが、田圃は芹川が近く、ミネラル豊富な水に恵まれていることや、冬には積雪が多いことが甘い人参ができる要因と考えられるそうです。30年ほど前に学校給食として供給したところ、人参嫌いの子供たちも喜んで食べたそうです。お土産に頂いて食べましたが本当に甘い人参でした。

 6.山田ねずみ大根 (草津市北山田地区)

 最盛期の1935年には草津市とその周辺地域で約2900トン作られていたが、1970年ころから病気に強い新品種の登場と食生活の変化で消費が落ちました。
元JA草津市職員農業アドバイザーの池本氏による「山田ねずみ大根」の継承に向けての取り組みは、湖南農業高校、光泉高校、滋賀県教育大学でなされてきました。
現在出荷しているのは市内の4農家だそうです。

 7兵主かぶ 野洲市中主 兵主大社

 室町時代から明治の初めまで兵主郷(中主地区)で栽培されていたのですが、時代の流れとともにに明治の中頃には完全に途絶えたそうです。
約10年前、兵主大社の宮司をされている井口氏は兵主大社御鎮座1300年に向けて育種事業に取り組まれました。由来では聖護院蕪と近江かぶらの原種とされていることから両蕪を掛け合わせ兵主蕪に近いものを作り「NEO兵主蕪」と命名されました。現在3件が生産されています。

 8.下田なす (湖南市下田地区)

 9.弥平とうがらし (湖南市下田地区)

 10.朝宮茶 (甲賀市信楽町)

11.全国在来かぶらサミット2019in滋賀 龍谷大学瀬田キャンパス

12.EVERGREEN (守山市) 

近江由来の食材を守っていくために滋賀県農政水産部「食のブランド推進課」が中心となり、認知度向上、担い手の育成、販路拡大等様々な取り組みが行われています。
販路拡大で大きく貢献している(株)EVERGREEN(株)ガーデンの社長清水氏を紹介いただき話を伺うことができました。
同社では近江食材で人気のレストランに食材を卸し、また県内の大手スーパーマーケットや道の駅に、県の「おいし・がうれしが」とともに近江食材コーナーを作り滋賀県産をアピールされてます。「野菜を作る人も売る人も採算が合わないと成り立たない。農業を応援するということは、お互いに利益があり、それが一時的ではなく継続されることで、生産意欲がわき、若い生産者にも希望となる。」とお聞きし、消費者である私も地産地消で応援したいと思いました。

学習成果展示発表会